1着が皐月賞馬ジオグリフ、3着が菊花賞馬アスクビクターモア…2頭を生んだ伝説の新馬戦「2着馬」の今
23日に阪神競馬場で行われた菊花賞(G1)は、田辺裕信騎手の2番人気アスクビクターモアが優勝。皐月賞馬やダービー馬不在とあって混戦ムードが漂う中、日本ダービー(G1)3着馬がその実力を改めて証明した。
また勝ちタイムの3分2秒4は、従来の記録をコンマ1秒上回るコースレコード。速い流れだったにもかかわらず、道中2番手から押し切ったあたり、時計・内容ともに文句なしの勝利だったと言えるだろう。
晴れてアスクビクターモアが菊花賞馬となったことで、その評価が改めて注目されているのは同馬の新馬戦だ。
昨年6月の東京。2020年のセレクトセールにて1億8700万円で取引されたこともあってか、デビュー前から周囲の期待が高かったアスクビクターモア。新馬戦で単勝1.9倍の断然人気に支持されたが、同馬を退けて勝利したのがのちに皐月賞馬となるジオグリフだった。
アスクビクターモアは3着に敗れたわけだが、同じ新馬戦から2頭のクラシックホースが誕生したことは、今となればこのレースが如何にハイレベルだったかを物語っている。
2頭を生んだ伝説の新馬戦「2着馬」の今
そんな「伝説の新馬戦」との呼び声も上がりそうなレースで、のちの皐月賞馬や菊花賞馬らを相手に2着したアサヒ(牡3、美浦・金成貴史厩舎)は現在、2頭とは対照的な道を歩んでしまっている。
デビュー戦で2着に善戦したアサヒは3戦目で初勝利を挙げると、続く東京スポーツ杯2歳S(G2)では、のちに皐月賞(G1)と日本ダービーで2着するイクイノックスに食い下がっている。
しかし、3歳初戦の共同通信杯(G3)では、鞍上を務めていた田辺騎手が「致命的な後れ」と振り返ったほどの痛恨の出遅れを喫し5着に敗戦……。
続くスプリングS(G2)でも同じくスタートで後手を踏み11着に終わり、白百合S(L)ではのちにラジオNIKKEI賞(G3)を制すフェーングロッテンに完敗の5着。2歳時にはクラシック候補の1頭として名が挙がっていたアサヒだったが、皐月賞やダービーに出走することさえできなかった。
そしてアスクビクターモアが菊花賞を勝った今月、再起を誓ったアサヒは1日の秋風S(3勝クラス)でおよそ4カ月ぶりに復帰。だが、1番人気に推されながらも6着に敗れている。
デビュー当初は上がり3ハロン33秒台の末脚を連発するなど、鋭い末脚を武器にしていたアサヒだが、最近は先行策に出ていることもあって、以前のような切れ味は見られなくなった。それでいて惨敗が続くとなれば、存在感は薄くなる一方だ。
かつてはクラシックホース2頭と接戦を繰り広げたアサヒ。菊花賞のレース後には、ファンからネットの掲示板やSNS等を通じて「次は君の番」「まだやれる」など温かい声援が見受けられた。
今週末の紅葉S(3勝クラス)に出走を予定しているだけに、改めて復活を期待したい。