【JBCスプリント(G1)展望】川田将雅レッドルゼルVS武豊ヘリオス!三浦皇成はG1・2勝目の大チャンス!
3日は「地方競馬の祭典」JBCデー。盛岡競馬場で行われるG1・3競走のうちの一つ、JBCスプリント(G1、1200m)はダート短距離馬にとって最大目標とされるが、今年もパワーとスピードを兼備した精鋭14頭がそろった。
不動の本命となりそうなのは、2005-06年のブルーコンコルド以来となる連覇を狙うレッドルゼル(牡6歳、栗東・安田隆行厩舎)だ。
強烈な末脚を武器に国内外で通算22戦9勝の成績を誇るが、重賞勝利は昨年の当レース、前走・東京盃(G2)と根岸S(G3)の3勝と意外に少ない。海外には2度遠征し、ドバイゴールデンシャヒーン(G1)で2年連続2着。1400m以下ならまず大崩れすることはない。
前走の東京盃は半年ぶりの実戦で、他馬より2kg重い自身初の58kgを背負ったが、あっさり克服。東京盃3着→JBCスプリント1着だった昨年以上の臨戦過程といえるだろう。
前走後に主戦の川田将雅騎手もコメントしていたが、元来は叩き良化型。1度使われた上積みで、3馬身突き放した昨年以上のパフォーマンスを見せてもおかしくない。
ヘリオス(セ6歳、栗東・寺島良厩舎)は、1400mのオープン特別を3勝している実力馬。ただし、重賞は未勝利で、G1で待望のタイトルを狙う。
昨年まで重賞では力不足のイメージがあったヘリオスだが、今年に入って武豊騎手とコンビを結成すると、根岸SからG3で3戦連続2着と結果を残した。
6月のさきたま杯(G2)は5着に敗れたが、距離不安がささやかれた秋初戦の南部杯(G1)を逃げてハナ差の2着。一戦ごとに力をつけている印象だ。
今回は前走から2ハロン距離を短縮しての6ハロン戦。約2年ぶりとなる距離だが、条件馬時代に3勝しており、不安視する必要はないだろう。
コンビ通算5戦4連対と好相性を誇る武騎手は、大井開催の04年マイネルセレクト以来のJBCスプリント制覇が懸かる。
1600mまでが守備範囲のレッドルゼルとヘリオスに対し、1200mに特化しているのはダンシングプリンス(牡6歳、美浦・宮田敬介厩舎)だ。
ダートで走った13戦のうち12戦が1200mで、残る1戦も1150m。ダート界生粋のスプリンターである。
そんなダンシングプリンスの才能が開花したのは3歳秋に船橋へ移籍してからだった。中央への再転入後も含めて6連勝を飾り、一気にオープン入り。昇級直後は2連敗を喫したが、その後は昨年4月の京葉S(L)を皮切りに国内外で4連勝と、そのスピードを存分に見せつけた。
連勝が止まったのは8月のクラスターC(G3)。スタートのタイミングがあわず大きく出遅れると、二の脚を使って先行集団に取り付いたが、直線で失速して4着に敗れた。
2か月半ぶりの実戦で鞍上を務めるのは、かつて主戦を務めていた三浦皇成騎手。11か月ぶりのコンビ再結成とはいえ、同馬を最も知る騎手だけにその手綱さばきには期待がかかる。
地方馬の中ではイグナイター(牡4歳、兵庫・新子雅司厩舎)に戴冠のチャンスがある。
ダンシングプリンスと同じくこの馬が本格化したのも地方へ移籍した後だった。3歳夏に兵庫競馬に活躍の場を移すと、5戦中3戦で「大差」勝ちを収めるなど、地力の差を見せた。
今年3月には黒船賞(G3)で交流重賞初制覇を飾ると、続くかきつばた記念(G3)も勝って2連勝。前走・南部杯でも一線級のマイラー相手に4着と健闘した。ここ3戦はいずれも距離を延長していたが、今回は一気に2ハロン短縮して、自身初となる6ハロン戦。この選択は吉と出るのか、それとも凶と出るのか、大いに注目したい。
5歳1月にオープン入りした遅咲きの門別出身馬、リュウノユキナ(牡7歳、美浦・小野次郎厩舎)も1200mでは大崩れがない。特に20年9月のながつきS(OP)以降は14戦中13回で馬券圏内という安定感を誇る。
盛岡では、クラスターCに2度出走し、21年優勝、22年2着と好走している。他馬にはないコース実績を存分に生かしたい。
9勝中8勝を1400mで挙げている7ハロンのスペシャリスト、テイエムサウスダン(牡5歳、美浦・蛯名正義厩舎)も虎視眈々と一発を狙う。近3走はマイルG1で2着、3着、そして前走・東京盃は約3年ぶりの6ハロン戦にもかかわらず2着に食い込んだ。開業1年目の蛯名厩舎はG1初挑戦で勝利を挙げられるか。
この他には、交流重賞4勝の実力馬ラプタス(セ6歳、栗東・松永昌博厩舎)、8歳の古豪スマートダンディー(牡8歳、栗東・石橋守厩舎)、地元岩手所属で3連勝中のキラットダイヤ(牝5歳、岩手・板垣吉則厩舎)などが参戦する。
レッドルゼルがあっさり連覇を果たすのか、それともライバルがそれを阻むのか。注目の一戦は、3日の17時20分に発走予定となっている。