キタサンブラック世代「大豊作」の裏で、最強世代がまさかの「不作」続き!?
先週行われた天皇賞・秋(G1)はイクイノックスが勝利。3着にはダノンベルーガが入るなど、期待溢れる3歳馬たちが歴戦の古馬たちを相手に実力を証明した。
続くジャパンC(G1)や有馬記念(G1)などといったビッグレースでも、3歳馬が古馬勢を圧倒するシーンがあっても不思議ではないと思えるほど、3歳世代のレベルの高さを感じられた。
ちなみに、近20年で複数の3歳馬が秋古馬三冠(天皇賞・秋、ジャパンC、有馬記念)を勝利した例は3回のみ。そのうちの1回が、ローズキングダムとヴィクトワールピサのいた世代である。同世代のエイシンフラッシュが優勝した翌々年の天皇賞・秋では、天覧競馬で見せたM.デムーロ騎手の最敬礼も話題を呼んだ。
この世代には牝馬三冠を達成したアパパネがいたが、古馬三冠競走を制したのはいずれも牡馬だった。そういった点では、同じ牝馬三冠のジェンティルドンナやアーモンドアイが3歳時にジャパンCを制した年(先に挙げた残る2回)とは内容が異なる。それだけ牡馬のレベルが高い世代だったといえる。
当時の天皇賞・秋は青葉賞馬のペルーサがブエナビスタの2着に屈したものの、ジャパンCはダービー2着のローズキングダムが、有馬記念では皐月賞馬ヴィクトワールピサがそれぞれ勝利。
他にも天皇賞・春(G1)を勝ったヒルノダムールやビートブラック、香港のクイーンエリザベス2世C(G1)を制したルーラーシップなど、実に豊富なタレントが揃っていた。
最強世代がまさかの「不作」続き!?
そんな現役時にはファンの間で「最強世代」との呼び声もあった世代だが、引退後に種牡馬となってからは、あまり大物を出せないでいる。
ダービー馬エイシンフラッシュをはじめ、ローズキングダム、ヒルノダムール、ダノンシャンティ、トゥザグローリーなどの産駒からは、重賞勝ち馬はいてもG1馬はいまだ出ていない状況。直近で国内G1を制しているのは、ルーラーシップ産駒で菊花賞(G1)を勝ったキセキのみだ。
また、ヴィクトワールピサは初年度産駒で桜花賞馬ジュエラーを輩出したものの、その後は長らく大舞台の戴冠から遠ざかっている。現役時には最強世代と呼ばれた馬たちであっても、種牡馬としての実績は現時点で少々物足りない印象に映る。
先週の天皇賞・秋を制したイクイノックスの父キタサンブラックと、G1・3勝のタイトルホルダーや牝馬二冠のスターズオンアースらの父であるドゥラメンテは同世代であるが、これらの世代と比較しても種牡馬としての存在感では、すでに大きな差をつけられている現状だ。
とはいえ、京都大賞典(G2)を制したエイシンフラッシュ産駒のヴェラアズールや、マイラーズC(G2)の覇者でルーラーシップ産駒のソウルラッシュなど、G1級の実力馬がいることも確か。かつて輝きを放った最強世代が、種牡馬としても大成する日を心待ちにしたい。