アルピニスタに「アウェーの洗礼」準備完了!? ジャパンCに大金積んでも忖度なし
10月2日に行われた凱旋門賞(仏G1)を制し、G1・6連勝で世界の頂点を極めた女傑アルピニスタ(牝5、英・M.プレスコット厩舎)は、次走にジャパンC(G1)参戦を検討中とのこと。
本馬を管理するプレスコット師は10月31日、英メディア「at the races」に順調さを欠くようなら見送ることもあるとしつつも、「今のところ、ジャパンCを目指しています」と語ったことが報じられている。
実現するようなら、同年の凱旋門賞馬のジャパンC出走は、2012年のソレミア(13着)以来。これはJRAにとっても嬉しい知らせだろう。
アルピニスタの父フランケルの産駒は、既に日本でG1を制したソウルスターリング(阪神JF、オークス)、モズアスコット(安田記念、フェブラリーS)らがいるように馬場適性もありそう。迎え撃つ日本馬にとっても最大の脅威となりそうだ。
とはいえ、やはり軽さとスピードを要求される日本の馬場に対する適性は、実際にレースで走ってみないことには分からないことも事実である。
凱旋門賞に遠征した日本のディープインパクト産駒が欧州の馬場に苦しんでいることを考えると、育成環境の違いが如実に表れている。先日のフューチュリティT(英G1)を優勝したラストクロップのオーギュストロダンをはじめ、サクソンウォリアーやスノーフォールなど複数のG1馬を輩出しているが、これらは欧州で育成された産駒。「氏より育ち」ということわざがあるが、これは競走馬にも同じことがいえるのではないか。
今年からジャパンCの1着賞金を1億円上乗せして4億円にした上、同年の凱旋門賞馬が優勝した場合、約4億4400万円のボーナスを設定したJRA。来年はさらに1億円を加算して5億円とすることも発表した。外国馬向けの国際厩舎も完成し、国際レースとしての魅力を内外にアピールする構えだ。
「アウェーの洗礼」準備完了!?
その一方で凱旋門賞同様に懸念の声が出ている馬場差については、これといって問題視する話もなく現状維持が濃厚の見込み。もはや別の競技とすら例えられる日本と欧州の馬場だけに、今度は外国馬が「アウェーの洗礼」を受ける番となる。
実際、天皇賞・秋(G1)でも1000m通過57秒4のハイペースで大逃げしたパンサラッサが、ゴール寸前まで粘り込みを見せる高速馬場だった上に、これを差し切ったイクイノックスがマークした上がり3ハロンの時計も、芝の中距離で32秒7という究極に近い数字でもあった。
ちなみに10月東京で開催された芝2000m条件のレースにも、いかにも日本の競馬といえそうな結果がズラリと並んだ。
何しろ全14レース中、上がり3ハロン最速の脚を使った馬が12勝。残る2勝も上がり2位の馬によるものだ。昨年の同時期は上がり3ハロンで最速をマークした馬の勝利が、11レース中2レースに留まり、逃げ切り勝ちも3つあった。
そしてこの極限に近い瞬発力を求められる特殊な馬場は、日本馬にとって大きなアドバンテージ。勝てば8億円もらえるアルピニスタ陣営だが、JRAが“大金を積んでも一切忖度しない”馬場の克服が課題となりそうだ。