「牝馬の福永祐一」も過去…ファンタジーS(G3)最有力アロマデローサの不安要素は鞍上?
5日、阪神競馬場でファンタジーS(G3)が行われる。数年前までは阪神JF(G1)や3歳春のクラシックレースに繋がらない印象だったが、近年はダノンファンタジーとレシステンシアがここから2歳女王に君臨。昨年の勝ち馬ウォーターナビレラも阪神JFで3着、桜花賞(G1)2着と結果を残している。
重要度の増してきた今年のファンタジーSに1番人気で臨む可能性が高いのが、2戦2勝のアロマデローサ(牝2歳、栗東・池添学厩舎)だ。
同馬は7月小倉開催のスプリント戦でデビュー。好位で折り合うと、直線で力強く抜け出して幸先の良いスタートを切った。前走は1ハロン距離を延長し、OPのききょうS(中京・芝1400m)に挑戦。初戦同様に前目でレースを進め、ゴール前で鮮やかに抜け出した。
当日の中京競馬場は開催2週目で高速馬場ということもあったが、勝ちタイムの1:20.4は従来の2歳レコードを0.5秒も上回る優秀なもの。このパフォーマンスに、デビューから2戦続けて鞍上を務めた福永祐一騎手も「競走馬として優秀。完勝です」と惚れ込んでいる。
アロマデローサの不安要素は鞍上?
その福永騎手は今回もアロマデローサに騎乗する予定だ。ダービー3勝の名手が続けて乗れるとなれば心強いところ。だが、今年はやや波に乗り切れないままだ。
「昨年の香港スプリント(G1)で落馬負傷した福永騎手は今年の2月に復帰し、すぐにカフェファラオでフェブラリーS(G1)を勝利しました。4月にはジオグリフで皐月賞(G1)を制し、春は落馬負傷の影響を感じさせない好調ぶりだったのですが……。それ以降、中央では重賞勝利から遠ざかっています」(競馬誌ライター)
この秋も交流重賞の南部杯(G1)で勝利したものの、中央のG1は4レース全てで人気以下に敗北。G2・G3も交流重賞では勝ち星を挙げられているが、中央の連敗は先週の天皇賞・秋(G1)で合計29に到達している。
福永騎手といえば、かつて「牝馬の福永」と言われた名手だ。自身初G1の1999年桜花賞(プリモディーネ)を皮切りに、若手時代は牝馬でのG1勝利を量産。シーザリオに騎乗してアメリカンオークス(米G1)制覇も経験した。通算G1・34勝のうち牝馬で挙げたものは11勝だが、15勝目までに限っては10勝が牝馬だった。
ファンタジーSのアロマデローサは、スタニングローズやチャンスザローゼスの活躍により過去の栄光を取り戻した“バラ一族”の出身だ。その勢いにあやかり重賞連敗ストップで「牝馬の福永」復活の狼煙を上げたい。