川田将雅に蘇る3年前の悪夢、C.ルメール脱落も安心できないダークホースの存在
先週はエリザベス女王杯(G1)が終了し、JRAの開催は残すところあと「13日」となった。年末まで7週連続で行われるG1開催が盛り上がりを見せているが、リーディング争いもいよいよ佳境を迎えている。
13日終了時点で、全国騎手リーディングトップを走るのは川田将雅騎手だ。
今年は5年連続でリーディングを獲得しているC.ルメール騎手が不調とあって、ここ3年でいずれも2位に終わった川田騎手が1位を独走。残り期間でも順当に勝ち星を挙げれば、悲願達成は目の前という状況である。
3年前にはルメール騎手に一時大きな差をつけ、初のリーディング獲得に期待が集まったものの、中盤で逆転を許し戴冠はお預けに……。翌年のJRA授賞式で「ルメールさんに(リーディング争いで)負けてしまったことは、とても情けなく思います」と自責コメントを残すほど、悔しい思いを経験した。
それでも地道に進化を続け、今や日本を代表するトップジョッキーの1人へと成長。リーディング獲得はそんな川田騎手が渇望するタイトルの一つであり、今年は何が何でもこの有利な状況を生かして栄冠を掴みたいところだろう。
C.ルメール脱落も安心できないダークホースの存在
しかし、ここへきて川田騎手のリーディング獲得に不穏な空気が漂い始めている。2位の戸崎圭太騎手が猛烈な追い上げを見せているのだ。現時点でまだ12勝差のある2人だが、それでもセーフティリードというには時期尚早といえる。
「夏の時点では川田騎手のリーディングでほぼ間違いないと思ったのですが、あながちそうとは言い切れない状況となってきました。というのも、戸崎騎手の勝ち星量産は、G1の裏開催が強力な追い風となっているからです。
いずれもトップジョッキーに変わりはありませんが、川田騎手はG1開催のある競馬場を主戦場としています。対する戸崎騎手の場合は、G1のない裏開催で勝ち星を稼いでいるため、これが有利に働きそうなんです。
当然ながらG1の開催日には、多くのトップジョッキーが集まるので、川田騎手にとって勝利することはそう簡単ではないでしょう。毎週コンスタントに勝ち星を重ね、リードを守ってきた川田騎手でしたが先週末は未勝利。これは今年初のことでした。裏開催の東京で5勝を挙げた戸崎騎手とは、明暗が分かれましたね」(競馬誌ライター)
また、川田騎手の大きな壁となっているのが、今秋に来日している外国人ジョッキーたちの存在だ。
「来日しているC.デムーロ騎手、R.ムーア騎手、D.レーン騎手らはノーザンファームで調整されている馬が騎乗馬のメインで、そのしわ寄せは川田騎手にも及んでいます。
実際、先週日曜の川田騎手の騎乗馬は6頭いましたが、全て非ノーザン。外国人騎手がいなければ、回ってきたかもしれなかった馬が、彼らに流れている状況ともなっています。
ムーア騎手とレーン騎手に関しては騎乗期間が残り3週と4週ですが、この間にも勝利数にかなりの影響がありそうですよ」(同)
戸崎騎手の猛追に加え外国人ジョッキーたちの来日も重なり、悲願のリーディング獲得へ雲行きが怪しくなってきた川田騎手。今後の状況次第で最悪の場合は、3年前の悪夢が再現という可能性も出てきた。
それだけに、ここから先は騎乗停止や落馬負傷などの離脱はもはや許されないといっていい。果たして川田騎手は、今年最大の危機ともいえる苦境を乗り越え、年末までトップを守り抜くことができるだろうか。