ジャパンCの外国馬は凱旋門賞と裏返し…「適性自信」の陣営が突き付けた過酷な現実
FIFAワールドカップ2022の開催で盛り上がっている毎日だが、今週末の東京競馬場では競馬のワールドカップともいえるジャパンC(G1)も行われる。
コロナ禍の影響もあって、近年は外国馬の参戦が減少し、3年前にはレース史上初となる外国馬の出走がゼロという危機的状況も経験した。
今年は、ニエル賞(仏G2)でドウデュースを破ったシムカミルをはじめ、パリ大賞(仏G1)を制したオネスト、バイエルン大賞(独G1)を楽勝したテュネス、昨年のジャパンCで5着のグランドグローリーなどが出走を予定。来日直前に故障が判明して引退が決まった凱旋門賞馬アルピニスタの回避は非常に残念だが、なかなかの好メンバーが揃ったといえよう。
JRAも国際厩舎を新設して1着賞金の増額や対象レースの報奨金を設定するなど、外国馬の招致が功を奏したとはいえ、避けて通ることができないのは、やはり日本の馬場への適性だ。
「適性自信」の陣営が突き付けた過酷な現実
エリザベス女王杯(G1)に出走したマジカルラグーンにしても、結果次第でジャパンCの続戦を視野に入れていたものの、レースでは何もできないまま最下位の18着に惨敗。レース前に欧州でも良馬場で速い時計の決着に対応していると自信を見せていた陣営だったが、想定外の惨敗で回避を決断したのだろう。
これはアルピニスタにも同様の懸念がされていたことだ。既に適性がある程度分かっているグランドグローリーはともかく、それ以外の3頭も走ってみるまでは分からない。
見せ場すら作れずにズルズルと後退したマジカルラグーンに対し、陣営は「馬場の悪化で力が出せなかった」と振り返ったが、仮に良馬場だったとしても好走をイメージできるような内容ではなかったように思う。それほど日本と欧州の馬場に違いがあるということなのだろう。
勿論、このような話を議題に挙げたところで今更「何をかいわんや」であることだ。
ジャパンCに出走した外国馬が2005年アルカセットの優勝を最後に、それから16年も勝利から遠ざかっており、同様に凱旋門賞(仏G1)で日本馬が苦戦していることも周知の事実。年々、高速化が進んでいるように感じられる日本の堅い馬場に外国馬が対応することは、競馬関係者が「まるで別競技」と例える欧州の馬場を克服するに等しい。逆もまた然りという訳だ。
当事者のJRAもこちらについて、認識していないはずがない。表面的なテコ入れのみで解決できる問題でもないだろう。実現しなかったとはいえ、アルピニスタ陣営が出走に前向きだったことについては一定の評価が必要となるが、終わってみればジャパンCに出走する外国馬もマジカルラグーンの二の舞となる可能性は非常に高い。
コロナ禍の静穏化という援護射撃があったものの、今年の結果次第では益々外国馬の参戦が減少するかもしれない。