「破格」コントレイル種付け料に不安も…ディープインパクト後継の「成否」は如何に!?
いよいよ11月の開催も最終週を迎え、27日には東京競馬場でジャパンC(G1)が行われる。
昨年は三冠馬コントレイルが有終の美を飾り、大きな盛り上がりをみせたこのレース。勝利後の騎手インタビューで主戦の福永祐一騎手が涙を流したシーンは、多くの競馬ファンの記憶に今もなお焼き付いているはずだ。
そんなコントレイルもすでに種牡馬入りし、第二のキャリアを歩んでいる。1年目となる今年は約190頭と交配し、受胎率も高く優秀な資質を示しているようだ。3年後の初年度産駒のデビューが待ち遠しい限りである。
期待の表れは「種付け料」にも反映されている。昨年、繋養先の社台スタリオンステーションから発表された種付け料はなんと1200万円。これはコントレイルの父ディープインパクトの初年度種付け料と同額である。それだけ期待も大きいということなのだろう。
現在種牡馬として活躍が目立つエピファネイア(250万円)やドゥラメンテ(400万円)の初年度と比べても、その金額は破格といえる。同じく現役時に三冠を達成したオルフェーヴル(600万円)との差も歴然で、コントレイルへの相当な評価が窺える。すでに産駒からG1馬がでているキズナと同じディープインパクトの後継として、大きな期待が寄せられている印象だ。
ディープインパクト後継の「成否」は如何に!?
だが、ディープインパクト同等のVIP待遇だからといって、種牡馬として必ずしも成功するとは限らない。
かつての三冠馬ナリタブライアンのように、現役時代は最強と謳われた名馬であっても、産駒が走らないというのはよくある話。コントレイルも実績的には十分だが、こればかりは産駒がデビューしてみないとわからない。
幼い時期から脚元に不安があり、伸び盛りな1歳後半から2歳前半にかけて馬場入りすら出来なかった過去を持つコントレイル。同馬が4歳時に宝塚記念(G1)の出走を断念した際、管理する矢作芳人調教師が「宝塚を回避したのは疲れだけでなく、実は脚部不安もあった」と明かしたように、いつも脚元の状態を窺いながらのキャリアだった。そういった点を踏まえると、産駒たちが脚部不安に悩まされる可能性は十分にあるだろう。
また、種牡馬として大成した馬は、近親も活躍していたケースが珍しくはない。ディープインパクトは兄のブラックタイドがスプリングS(G2)を勝利するなど、兄弟が芝重賞で活躍。桜花賞(G1)などG1を3勝したファレノプシスを姉に持つキズナや、祖母に天皇賞・秋(G1)を制した女帝エアグルーヴがいるドゥラメンテなども、同じダービー馬という目線で比較しても血統面で優秀だった。
対してコントレイルは、母系を遡ると米G1を制した馬の名前もあるとはいえ、ダート馬が多数。兄もダートの短距離を走っていたことを考えると、むしろ芝の三冠を制したコントレイルは異質な存在でもあった。
種牡馬として成功するためには、この突然変異にすら感じられる能力の高さを産駒に伝えられるかどうかに懸かってくる。とはいえ、様々な不安点はあるにせよ、種牡馬としても大きな期待を背負っているコントレイル。破格の種付け料に見合う活躍を、我々競馬ファンに見せてくれるだろうか。