C.ルメール「痛恨」の予約取消…G1馬の系譜を継ぐ大器が絶望の最下位
26日、東京競馬場で行われたキャピタルS(L)は、2番人気のララクリスティーヌ(牝4歳、栗東・斉藤崇史厩舎)が勝利。前走スワンS(G2)2着の勢いそのままに、オープン昇級後の初勝利を飾った。
レース後「いい状態に仕上げてもらったので、いい結果を出せてよかったです」と話した菅原明良騎手とは、これで3勝2着2回と相性抜群。来年はマイル戦線を賑わす注目の1頭になりそうだ。
G1馬の系譜を継ぐ大器が絶望の最下位
そんな前途洋々な勝ち馬から遅れること約3秒……。最後は歩くように最下位でゴールしたのが、かつて世代No.1といわれた3歳馬コマンドライン(美浦・国枝栄厩舎)だ。
「来年のダービーの予約をしておきます」
昨年6月、1つ年上のシャフリヤールが日本ダービー(G1)で世代の頂点に立った翌週、「今度はオレの出番」と言わんばかりに新馬戦開幕を飾ったのが、コマンドラインだった。
育成を行ったノーザンファーム早来から「これまで携わった馬の中でもトップクラス」というコメントが出れば、C.ルメール騎手から早くも来年のダービーで騎乗するという予約まで飛び出したのだから、本馬が単勝1.1倍に支持されたのも当然か。
そんな周囲の期待に応えるように3馬身差の圧勝デビューを飾ったコマンドラインは、続くサウジアラビアRC(G3)もあっさり突破。2015年の重賞昇格以来、勝ち馬6頭の内4頭がG1馬。残り2頭も重賞勝ちという超出世レースを勝った本馬の将来には極めて明るい光がさしていたはずだ。
しかし、1番人気に推された年末のホープフルS(G1)でまさかの12着に大敗してから、コマンドラインの歯車は大きく狂ってしまった。
一時は翌年クラシックの筆頭候補にさえ名が挙がった大器は、クラシック制覇どころか出走すら叶わないまま春シーズンを終えると、7月にはジャパンダートダービー(G1)に出走して14着に大敗……。
約1年前にルメール騎手が予約した“ダービー騎乗”がまさかダートで果たされるとは思ってもみなかったが、その鞍上にフランス人騎手の姿はなかった。
「前回は初のダートでしたし、決して本調子とはいえない状態でした。しかし、今回は時間をかけて立て直された上に、舞台はサウジアラビアRCと同じ東京の芝1600m。主戦のルメール騎手に戻ったことで、今回がキャリアの分水嶺でした。
しかし、最後の直線では早々と後退……。課題になっているもたれ癖が解消されておらず、ルメール騎手も最後はほぼ追っていませんでした。今のところ馬体の異常などは発表されていませんが、今後に大きな不安が残る敗戦だったと言わざるを得ません」(競馬記者)
超が付くほどの出世レースとして毎年注目されているサウジアラビアRCを1番人気に応えて勝ち切ったのはグランアレグリアとサリオス、そしてコマンドラインの3頭だけだ。先輩2頭は後にG1を勝つだけでなく、長くマイルのトップ戦線で活躍したが、本馬がそこに続ける可能性は極めて低くなったと言わざるを得ない。