エアグルーヴ破った名牝はブエナビスタを輩出、27年前の血が今年も再燃
11日、阪神競馬場にて2歳牝馬の頂点を争う阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)が開催される。
リバティアイランドとラヴェルが人気を集めそうだが、出走するからには、どの馬にもチャンスがあるともいえるだろう。2歳女王に輝いた馬から後の名牝も誕生するかもしれない。
今回は1995年の優勝馬ビワハイジについて振り返ってみたい。本馬は昔で言うところの「持ち込み馬」で、早田牧場がカーリアンの仔を受胎した状態の母アグサンを購入。日本で生まれたのがビワハイジだ。当時活躍していたビワハヤヒデと馬主・調教師・生産者が同じという共通点もあった。
デビューから武豊騎手とのコンビで2戦2勝の戦績を収めたビワハイジの次走に選ばれたのが阪神3歳牝馬S(阪神JFの前身)。しかし、複数のお手馬がいた武豊騎手がイブキパーシヴをパートナーに選択した関係で角田晃一騎手(現調教師)にバトンタッチすることとなった。
レース当日は、武豊騎手が選んだ馬ということもあってイブキパーシヴが1番人気、母にケンタッキーダービー(米G1)を勝ったウイニングカラーズを持つ世界的良血馬のゴールデンカラーズが2番人気、後に女帝として君臨するエアグルーヴが3番人気となり、ビワハイジは4番手の評価に甘んじた。
だが、鞍上の好判断が好結果を呼び寄せる。積極果敢にハナを奪ったビワハイジが、そのまま後続の追撃を凌いで勝利。ゴール前で猛追してきたエアグルーヴに半馬身の差をキープしたまま逃げ切り勝ちを決め、無傷の3連勝でG1制覇を飾ったのである。武豊騎手とイブキパーシヴは3着に敗れていた。
女王の復帰戦となったのは、翌春のチューリップ賞(G3・現G2)。前走で下したエアグルーヴを上回って1番人気の支持を集めたものの、2度目の対決では、5馬身差をつけられる2着に完敗。本番の桜花賞(G1)ではまさかの15着に大敗し、オークス(G1)から矛先を転じた日本ダービー(G1)に出走したが、フサイチコンコルドから大きく離される13着に敗れた。
引退レースとなった京都牝馬特別(現京都牝馬S・G3)で4勝目を挙げたとはいえ、2歳女王のその後は、決して華やかなものではなかったといえるかもしれない。
繁殖牝馬としては超一流といえる実績
だが、そんなビワハイジも繁殖牝馬としては超一流といえる実績を残した。重賞勝ち馬を複数送り出しただけでなく、6番仔のブエナビスタはご存じの通り、名牝として名を残した。結果的に競走馬としてより名繁殖牝馬として評価されている。
ちなみにビワハイジが優勝した阪神3歳牝馬Sで2着に敗れたエアグルーヴは、今年の阪神JFの有力馬ドゥーラの父ドゥラメンテの2代母にあたり、5着馬ロゼカラーも「バラ一族」につながる名牝だ。今年のレースに出走を表明しているアロマデローサがこの一族に連なる。
27年の年月を経た現在も、その子孫たちが貴重な血を現在にも伝えている。