サリオスの可能性奪った厩舎にファン不満…残念過ぎた期待度MAXからの不戦敗

サリオス 撮影:Ruriko.I

 かつて三冠馬コントレイルの最大のライバルと目された実力馬としては、あまりにも寂しい結末だった。

 11日の香港マイル(G1)を最後に引退し、種牡馬となることを発表されていたサリオス(牡5、美浦・堀宣行厩舎)だが、左前脚跛行が判明したことにより、ラストランを前にターフを去ることとなった。

 同馬はデビューから無敗の3連勝で朝日杯フューチュリティS(G1)を制覇し、同じく無敗でホープフルS(G1)を制したコントレイルと春のクラシックで激突。皐月賞(G1)、日本ダービー(G1)でいずれも2着に敗れはしたものの、世代No.2の評価をファンに印象付けた逸材だった。

 しかし、3歳秋の毎日王冠(G2)を圧勝して以降は、G1で善戦しても惜敗止まり。マイルを中心に使われて思うような結果を残せなかった結果、距離短縮を試みた芝1200mの高松宮記念(G1)でも惨敗していた。

 そのサリオスが10月の毎日王冠で2年ぶりの勝利を挙げたことに対し、元JRA騎手の安藤勝己氏も自身のTwitterで「距離はこのくらいほしい馬」と回顧したように、距離延長が好走に結び付いたと考える声も少なくなかった。好調時に見せた闘争心と鋭い末脚が蘇った実力馬の次走に、天皇賞・秋(G1)、ジャパンC(G1)、有馬記念(G1)などへの参戦を望む声が出たのも無理はない。

サリオスの可能性を奪った厩舎にファンの不満が爆発…

 だが、そんなファンの期待をよそに出走したマイルCS(G1)を14着に惨敗しただけでなく、陣営は引退レースになるはずだった香港国際競走でもマイルを選択。故障の判明でレースへの出走も叶わなかったのだから、頑なに距離延長をしなかった厩舎に一部のファンの不満が爆発した。

 挙句の果てには、ネットの掲示板やSNSなどで「マイラーじゃない」「2年も使って気が済まなかったのか」「他の厩舎で見たかった」という意見もあったように、堀宣行調教師の手腕を疑問視する声まで出てしまう始末だ。

「今年の高松宮記念に参戦する際、堀調教師は『デビュー当時から短距離適性を見込んでいた』と話をしていましたが、敗戦を重ねても短距離にこだわり続けた理由については正直よく分かりません。ダービーでコントレイルに敗れはしましたが、このレースの3着馬ヴェルトライゼンデは、今年のジャパンCでも3着に入った馬ですし、距離の問題はなかったようにも感じます。

血統的にも半姉のサラキアは2200mのエリザベス女王杯(G1)や2500mの有馬記念で2着に入っていましたし、弟のサリオスの父は今年のダービー馬ドウデュースと同じハーツクライ。長い距離を使う選択肢はあったはずですが、もしかしたら脚元に弱さを抱えて走っていたことが関係しているのかもしれませんね」(競馬記者)

 とはいえ、結果的に低迷した2年の間で使われた最長距離は、昨年4月の大阪杯(G1)の2000m。5着に敗れはしたものの、コントレイルやグランアレグリアも凡走した特殊な馬場だったことを考えれば、サリオスをこの一戦のみで「マイラー」と決めつけてしまうには、あまりにも早過ぎたかもしれない。

 不振が続く中、ネットで批判の声に晒されていることは、おそらく陣営の耳にも入っていたはず。中距離を使いたくても使えない事情があったという可能性も考えられるが、路線変更を試みる時間も十分にあったこともまた事実だ。

 また、安藤氏はかつて「ゆくゆく2000mまでならコントレイル、それ以上ならサリオスって構図になりそう」と期待を寄せていたが結局、最後までそれが証明されることはなかった。ダービー2着馬が可能性を奪われたまま、マイラーとして競走生活を終えてしまったことは非常に残念でならない。

黒井零

1993年有馬記念トウカイテイオー奇跡の復活に感動し、競馬にハマってはや30年近く。主な活動はSNSでのデータ分析と競馬に関する情報の発信。専門はWIN5で2011年の初回から皆勤で攻略に挑んでいる。得意としているのは独自の予想理論で穴馬を狙い撃つスタイル。危険な人気馬探しに余念がない著者が目指すのはWIN5長者。

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