「単勝202.3倍」大穴「請負人」がまたも健闘! 朝日杯FS激走にファンも拍手喝采
先週行われた朝日杯フューチュリティS(G1)は、2週前の阪神JF(G1)に続き1番人気馬(ドルチェモア)が優勝。2着にダノンタッチダウン(2番人気)、3着にレイベリング(3番人気)が入る順当な決着となった。
キャリアが浅い2歳馬だけに、力関係を見極めることが難しいG1だったとはいえ、終わってみれば人気通りの結果。1番人気馬の不振が目立った今年だが、3→2→1人気で決着した秋華賞以来の堅い決着に、胸を撫で下ろしたファンも多かったのではないか。
ただ一歩間違えれば、3連単の払戻が10万円を超える波乱となる可能性もあったことは覚えておきたい。
なぜなら3着レイベリングの次に入線した馬が、キョウエイブリッサ(牡2、美浦・武市康男厩舎)だったからだ。17頭立てのレースで16番人気という超人気薄だった馬の単勝オズはなんと202.3倍。ほぼノーマークに近かった馬の激走を予想することは、多くの競馬通をもってしても難しかったはずだ。
中京記念(G3)のレコード勝ちを含む、芝マイル戦で6勝したグレーターロンドンを父に持つキョウエイブリッサ。血統的にマイル適性があったとしても、相手関係を考えると手を出しにくい馬である。
しかし、同馬のデビュー戦がダートだったことも低評価に繋がったかもしれない。また、2戦目の1勝クラスでは芝1400mで3着に好走したとはいえ、同じく朝日杯FSに出走したバグラダスやティニアに完敗しているだけに、2頭から人気で大きく後れを取ったのも当然だったように映る。
1番枠からスタートを決めたキョウエイブリッサは、勝ったドルチェモアを前に見ながら内目の7番手を追走。最後の直線でも力強い末脚を発揮するなど、あわや馬券内と思わせるような激走だった。
「パトロール映像を見ると、キョウエイブリッサは最初のコーナーに差し掛かる際、内に切れ込んできたバグラダスを避けるために、大きく後退りする場面がありました。最後も3着馬とはコンマ2秒の差ですし、道中の不利がなければもう少し際どかったかもしれませんね」(競馬誌ライター)
大穴「請負人」がまたも健闘!
そんな不利があったにもかかわらず、冷静に対応した川須栄彦騎手の手綱捌きも実に見事だった。レース後には「内有利な馬場で枠(1枠1番)も良かった」と謙遜した川須騎手だが、終始内目で脚を溜めた後、直線では馬群を捌きながら追撃。初騎乗ながら大健闘といえる内容に、ネット上の掲示板やSNS等でも「凄い!」「一瞬夢見た」「川須うますぎ」など、鞍上の好騎乗を称賛する声が多く上がっていた。
「川須騎手は夏の小倉で行われた北九州記念(G3)でも、同じく1番枠だったボンボヤージを勝利に導いていましたね。それも、キョウエイブリッサのような単勝164.3倍の16番人気と超大穴でした。
デビューから13年目にしてJRAのG1ではいまだ3着内に好走したことがない川須騎手ですが、2年目には91勝を挙げ全国リーディングで6位に入った実力者です。今年は7年ぶりの重賞勝ちも決めましたし、地方のマイルCS南部杯(G1)でもシャマルとのコンビで3着に入るなど、随所で存在感を発揮しました。今年の活躍を機に、またトップ前線に返り咲いてほしいですね」(同)
単勝万馬券の超大穴にもかかわらず、北九州記念に続くあわやのシーンを演出した川須騎手。たとえ人気がなかろうと、「超大穴馬+川須騎手」は今後の馬券の参考に覚えておいて損はないはずだ。