タイトルホルダー主戦の「笑えない」1日、G1降板の裏で自身は痛恨空回り

 先週末の朝日杯フューチュリティS(G1)を制し、デビューから3戦無敗で2歳マイル王に輝いたドルチェモア(牡2、栗東・須貝尚介厩舎)。G1の舞台に初コンビで挑んだ坂井瑠星騎手の冷静な手綱捌きもまたお見事だった。

 坂井騎手のG1勝利は秋華賞に続く2勝目。2か月前に初めてG1勝利の美酒に酔った若手騎手とは思えない強心臓ぶりは驚きだ。

 スタートから道中のポジション取り、最後の直線で見せた一呼吸待った追い出しのタイミングも素晴らしく、世界の矢作芳人厩舎から英才教育を受けた秘蔵っ子は、着実にスターダムへの階段を駆け上がっていることをファンに印象付けた。

横山和生騎手 撮影:Ruriko.I

 だが、この快挙の裏で笑えない1日を送る羽目になったのが、ドルチェモアとのコンビで2戦2勝と完璧な結果を残していた前任者の横山和生騎手だろう。

 前走のサウジアラビアRC(G3)でも文句なしの好騎乗。レース後のコメントでも「これから順調にいけば、まだまだ頑張ってくれると思います」と相棒に期待を寄せ、管理する須貝調教師も「ジョッキーも上手く乗ってくれました」と横山和騎手の騎乗を評価していたはずだった。

 ここまでの騎乗でこれといった大きなミスもなかった馬がG1に駒を進めたにもかかわらず、大一番での騎乗が叶わぬまま、自身は裏開催の中京競馬で元パートナーのG1勝利を見学せざるを得なかったことは少々気の毒でもある。

 ノーザンファーム系の有力馬なら、短期免許で来日した外国人騎手へ乗り替わることは珍しくないが、一部のファンから同情の声も出ていた今回の一件。ドルチェモアを所有するスリーエイチレーシングが、坂井騎手を贔屓にしている裏事情があったにせよ、結果的にチャンスを奪われた格好となった。

G1降板の裏で自身は痛恨空回り…

 それだけに、この日のメインレース・コールドムーンS(OP)は、並々ならぬ強い意志で臨んでいたことは間違いない。

 コンビを組んだのは、ダートの短距離路線で頭角を現したタイセイサムソン(牡4、美浦・奥村武厩舎)だ。本馬が最も得意とする左回りのダート1400mということもあり、ファンも単勝オッズ2.0倍の大本命に支持。G1を見学することとなった横山和騎手としても、しっかりと勝利して留飲を下げたいところだった。

 しかし、結果は無情にも好スタートからハナに立ったリフレイムが、3馬身のリードを保ったまま逃げ切り勝ち。2着を確保したタイセイサムソンも懸命に食い下がったとはいえ、自身と同じ57キロの斤量を背負った牝馬に完敗を喫してしまった。

「頑張ってくれたと思います。力は出し切ってくれました。輸送があったぶん、ゲートが怪しかったです」

 敗戦を振り返った横山和騎手の言葉通り、好発を決めた勝ち馬に対し、タイセイサムソンは出遅れ気味のスタート。終始マイペースで気分よく走れたライバルを促しながら追い掛ける展開も響いた格好だ。

 成績としては土曜中山で1勝、日曜中京で1勝と悪くない内容だったが、G1勝利のチャンスを逃がし、裏開催のメインを大本命で敗れたことは痛恨。絶大な信頼関係を築いているタイトルホルダーと挑む今週末の有馬記念(G1)で、再び笑顔を取り戻すことができるだろうか。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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