武豊「一か八か」もドン詰まり…アウォーディー厩舎と6年ぶり戴冠もお預け
24日に阪神競馬場で行われた阪神C(G2)は、1番人気のダイアトニックがハナ差の接戦を制して勝利。来年から豪州で種牡馬入りするため、今回のレースで引退することが決まっていた同馬だが、見事なラストランで有終の美を飾った。
最後の直線では外から追い込んだグレナディアガーズに一度は交わされたものの、主戦の岩田康誠騎手が「負けたくないという気持ちで、ゴールの時は差し返してくれた」と振り返った通り、勝負根性を発揮して内からもうひと伸び。ドラマのようなラストランに、鞍上も「ファンタスティック」と感無量だった。
まさに最後の完全燃焼で引退レースを飾ったダイアトニックだが、一方で残念ながら不完全燃焼に終わった馬もいる。13着に惨敗した6番人気のルプリュフォール(騙6、栗東・松永幹夫厩舎)だ。
「ペースが上がらず、外を回ったら間に合わないと思って一か八か内を突きました」
「一か八か」もドン詰まり…
レース後に鞍上の武豊騎手がそう振り返った通り、最後方から追い込みに懸けたルプリュフォールだったが、最後の直線で内に切り込むも中々進路を確保することが出来ず。その後も「(進路が)全く開かなかったです」と鞍上が話したように、行く先々で前が壁となる消化不良のレースに終わってしまった。
この結果にはネット上のファンからも、掲示板やSNS等を通して「勿体ない」「手応えありそうだったし、外を回して欲しかった」など、勝負所での進路取りに関する疑問の声が続出。後方から外目を縫って追い込んだラウダシオンが3着に入ったこともあってか、「外に持ち出してもチャンスがあったのでは?」と考えるファンも少なくなかったようだ。
「最後は手応えに余裕があっただけに、ちょっと残念な結果でしたね。前走のスワンS(G2)は武豊騎手が上手く外から追い込み11番人気ながら3着に導いていただけに、今回も外目からスムーズなら上位に食い込むシーンがあったかもしれません。
ただルプリュフォールは賞金面で不安があるだけに、武豊騎手が狙っていたのは(収得)賞金を加算できる1着か2着。結果的に内を選択したことが裏目となりましたが、レース後の『一か八か』の言葉通り、勝負師らしい決断だったように思います」(競馬誌ライター)
また、武豊騎手とルプリュフォールを管理する松永幹厩舎とのコンビは、長らく重賞勝ちから遠ざかっている。
JRAの重賞で最後に勝利したのは、アウォーディーで制した2016年のアンタレスS(G3)まで遡る。それ以降も京都牝馬S(G3)で3着したエスティタート、ラジオNIKKEI賞(G3)3着のゴータイミングなど、何度か好走しているものの勝利には届かず。
今年もマイシンフォニーとのタッグでフィリーズレビュー(G2)とフローラS(G2)をいずれも4着と惜しい競馬が続いている。
それだけに、今回のルプリュフォールにはレジェンドも可能性を十分に感じていたはずだが、残念ながら不完全燃焼に終わってしまった。次こそ松永幹厩舎とのコンビで久しぶりの重賞勝利を決めることができるだろうか。