C.ルメール「2回邪魔されて」不完全燃焼…ソールオリエンス平地調教注意の裏で後味の悪さ、1番人気セブンマジシャンが襲われた立て続けの災難
15日に中山競馬場で行われた京成杯(G3)は、2番人気のソールオリエンスが豪快な差し切り勝ち。半兄に3年前の富士S(G2)を制したヴァンドギャルドがいる良血が、クラシック候補に名乗りを上げた。
レース後、手綱を取った横山武史騎手は「かなり能力を持っています」とパートナーを絶賛。最後の直線で見せた豪脚は、かつてクラシック二冠を達成したドゥラメンテの皐月賞(G1)を彷彿とさせるような凄まじい切れ味だった。
そんなスター候補が誕生した一方で、後味の悪いレースとなってしまったのが、1番人気で3着に敗れたセブンマジシャン(牡3、栗東・高野友和厩舎)だ。
道中は勝ち馬のソールオリエンスを前に見ながら、中団よりやや後方を追走していたセブンマジシャン。過去3戦でいずれも上がり3位以内をマークしている末脚自慢だけに、この時点では鮮やかな差し切りを期待していたファンも多かったはずだ。
しかし、レース後に鞍上のC.ルメール騎手が「2回邪魔されて」と振り返った通り、最後の直線でソールオリエンスが自身の前を遮るように外側へ斜行。それに加え、立て直して追い込んでいるところに今度は内からオメガリッチマンが前をカットと大きな不利が2度も続いた。
加速途中に2度も急ブレーキを踏まされては、流石の末脚自慢も万事休す。その後の懸命な追い込みも届かず、結果的に3着が精一杯だった。
セブンマジシャンが襲われた立て続けの災難
「セブンマジシャンとルメール騎手にとっては、不運なレースとなりましたね。レース後には、勝ったソールオリエンスの横山武騎手が『他馬に迷惑をかけてしまったので申し訳ない気持ちでいっぱいです』と謝罪していましたが、1度ならず2度でしたから影響は大きかったと思います。
ルメール騎手も『馬の反応は良かった』と振り返っていたように、不利さえなければ着順も違っていたかもしれません。陣営としてもクラシック前に少しでも賞金を加算したかったでしょうから、この不利は痛かったのではないでしょうか」(競馬誌ライター)
実際、レース後にはJRAからソールオリエンスには「4コーナーで外側に逃避したこと」について平地調教注意が課せられ、オメガリッチマンの石川裕紀人騎手には「最後の直線コースで外側に斜行した」として戒告処分が下っている。結果だけみればソールオリエンスの圧勝だったが、セブンマジシャン陣営には、不完全燃焼といえる敗戦だったかもしれない。
またルメール騎手にとっても京成杯は、近5年を見ても4度の参戦で2勝(2019年ラストドラフト、2021年グラティアス)、2着1回(2020年スカイグルーヴ)しており好相性といえる舞台。自身は年初から重賞で3着内の好走もなかっただけに、流れを変えるには絶好の機会だった。
だが、不完全燃焼とはいえ昨年のアライバル(1番人気、4着)に続く連敗。2年続けて期待を裏切る結果となった。
直近勝率5割の得意レースながら、痛恨の不利にぼやくしかなかったルメール騎手。この後セブンマジシャンに継続騎乗するかはわからないが、次こそは完全燃焼に期待したい。