JRA武豊インティ級の新星登場か、「低レベル」コントレイル世代から遅れてきた大物が登場? ヴェラアズール、ジュンライトボルトに続いた「三番目の風」

インティ

 未勝利戦勝利から7連勝で2019年のフェブラリーS(G1)を優勝したインティ。昨年の9月7日付で競走馬登録を抹消し、今後は北海道新冠郡新冠町の優駿スタリオンステーションで種牡馬となる予定だ。

 主戦の武豊騎手とコンビを組み、ダート界のトップクラスの1頭として競馬を盛り上げてくれた馬である。そして飛ぶ鳥を落とす勢いで連勝していたインティの初重賞制覇となったのが、4年前の東海S(G2)だった。

 当時、まだ1600万下(現3勝クラス)を勝ったばかりの身で重賞級のメンバーが集まるG2を2馬身差で快勝。このレースで強さを証明したことにより、フェブラリーSでの1番人気が約束されたといっていいだろう。

 本馬を管理していたのは野中賢二調教師な訳だが、同じく野中厩舎からインティの後継者に名乗りを上げたのが、先週末の東海Sを優勝したプロミストウォリア(牡6、栗東・野中賢二厩舎)だ。

 2着ハギノアレグリアスにつけた2馬身差は、奇しくも偉大な先輩と同じ。過去10年の東海Sにおいて、前走でオープンに昇級したばかりの馬が優勝したケースは、インティに続く2度目の快挙。さらにデビューから7戦目の初重賞勝ちというところも一致したのだから、マスコミやファンから「インティの再来」という声が出たのも不思議ではない。

 この遅れてきた大物候補の年齢が6歳であることに対し、キャリアがまだ7戦しかないというのも、今後の伸びしろを予感させる。好騎乗でパートナーを勝利へ導いたB.ムルザバエフ騎手から「(G1に)挑戦するならチャンスがある」というコメントが出ていたように、フェブラリーSに出走してもチャンスは大いにありそうだ。

 その一方でひとつ気になったのは、6歳といえば“いわゆるコントレイル世代”。天皇賞・秋(G1)で無敗の三冠馬が一つ下のエフフォーリアに完敗したイメージもあり、一部のファンから低レベルと揶揄されるこの世代だが、実は最近になって大物が続々と登場している。

 コントレイル自身は既に現役を引退したものの、昨年のジャパンC(G1)を制したヴェラアズール、チャンピオンズC(G1)を制したジュンライトボルトも6歳馬。どちらもクラシックには無縁だったが、古馬になってからの路線変更で頭角を現した。

 そして東海Sを制したプロミストウォリアと同じく、キャリアが浅いことも大きな共通点となる。2頭は「ダート→芝」「芝→ダート」に路線変更したこともあり、ヴェラアズールは芝で7戦、ジュンライトボルトはダートで4戦しか経験していない。ダートのみで7戦のプロミストウォリアとは一線を画する経歴だが、遅れてきた大物という点では似ている。

 実績的には、既にG1勝ちのある2頭と比較するにはまだ早いとはいえ、もしプロミストウォリアがフェブラリーSに出走し、勢いそのまま優勝するようなら、「三番目の風」として名乗りを上げるかもしれない。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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