JRA「勝率、連対率、複勝率」すべてで川田将雅、C.ルメールを凌駕! B.ムルザバエフの評価が赤丸急上昇…謙虚な「豊さん、ありがとうございます」のコメントも好感

B.ムルザバエフ騎手 撮影:Ruriko.I

 小倉競馬場で行われた先週末の小倉大賞典(G3)を2番人気ヒンドゥタイムズ(セ7、栗東・斉藤崇史厩舎)とのコンビで制したB.ムルザバエフ騎手。57.5キロの斤量を背負った重馬場の競馬で、カテドラルとハナ差の接戦を制し、JRA重賞3勝目を手に入れた。

「最後の直線は接戦になっていましたが、馬が頑張ってくれて、頭を少し出してくれたので馬には感謝したいです」

 ムルザバエフ騎手もそう振り返ったように、写真判定まで持ち込まれた僅差の勝利。一度は交わされそうになるシーンもあったが、ゴール前でグイっともう一伸び。鞍上の手腕でもぎ取った勝利といえるだろう。

 レースでの騎乗は初めてだったものの、ヒンドゥタイムズの調教には「何回も乗せていただいていましたし、とにかく乗ったイメージのままのレースプラン」だった様子。事前に騎乗経験がある武豊騎手から「ゲートを出てから促した方が良いよ」とアドバイスをもらっていたことに触れ、「それで勝てたと思います。豊さん、ありがとうございます」と感謝の気持ちを忘れない姿勢や謙虚なコメントにも好感が持てた。

 ドイツで3年連続リーディングを獲得したトップジョッキーは、わずか数ヶ月で日本のファンに十分過ぎるほどの強烈なインパクトを残している。日本でG1初騎乗となった昨年のジャパンC(G1)では、7番人気のテュネスに騎乗して9着に敗れたが、ドイツの重い馬場を走っていた馬にとって、軽さとスピードが要求される日本の高速馬場は向かなかったのだろう。

 特筆すべきは、短期免許を取得して騎乗をスタートした以降の成績だ。

「勝率、連対率、複勝率」川田将雅騎手、C.ルメール騎手を凌駕!

 阪神C(G2)で11番人気ラウダシオンを3着に導くと、4日後のホープフルS(G1)に14番人気ドゥラエレーデでいきなりJRA・G1勝利の離れ業を披露した。その後も年が明けたシンザン記念(G3)を3番人気ペースセッティングで2着に入り、東海S(G2)でも2番人気プロミストウォリアで優勝し、きさらぎ賞(G3)でも2番人気オープンファイアで2着に入った。

 3ヶ月にも満たない期間ながら、5つの重賞で2勝2着2回3着1回というパーフェクトな成績を残したのだから恐れ入る。京都記念(G2)、京都牝馬S(G3)こそ馬券圏外に敗れたものの、小倉大賞典の勝利で再びファンを唸らせた。

 実際、数字で比較してみてもムルザバエフ騎手の成績はライバルを圧倒している。短期免許を取得して、日本で騎乗を始めた昨年12月17日から先週末の開催までの期間で重賞のみの成績を確認したところ、なんと【3.2.1.2/8】勝率37.5%、連対率62.5%、複勝率75.0%のとんでもない数字をマークしていたのだ。

 これは当然ながらトップの成績であり、川田将雅騎手【3.3.2.4/12】やC.ルメール騎手【2.0.4.8/14】をも凌駕する。もはや重賞レースでムルザバエフ騎手を軽視しては、馬券が的中しないといっても過言ではないほどである。

 いち早くこの“ドイツの完璧超人”に目を付けていたファンからは、信者も続々と誕生しつつあるようだが、残念ながら今週末に関しては、サウジアラビアに渡航するため、狙える機会がない(馬券発売なし)。

 ただ幸いなことに短期免許の期間は3月5日まで残っている。重賞は4日にチューリップ賞(G2)とオーシャンS(G3)の2つ、5日に弥生賞ディープインパクト記念(G2)の開催がある。

 このタイミングでムルザバエフ騎手の凄さに気付いたファンにとって、ラストチャンスといえるラストウィーク。多くのファンから赤丸急上昇の評価を集めた腕利きが、これらの重賞に騎乗するようなら狙い撃っても損はなさそうだ。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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