【チューリップ賞(G2)展望】「絶望的不利」乗り越え勝利エフフォーリア妹VS世代牝馬唯一の「重賞2勝馬」キタウイング!
3月4日、阪神競馬場では桜花賞(G1)トライアルのチューリップ賞(G2)が行われる。例年は阪神JF(G1)の上位組が人気を集める傾向があるが、今年はやや異質なメンバー構成となりそうだ。注目馬を中心に早速見ていこう。
血統面から最も注目を集めるのは、1戦1勝のペリファーニア(牝3歳、美浦・鹿戸雄一厩舎)だろう。
半兄はつい先日に種牡馬入りしたエフフォーリア。父がエピファネイアからモーリスに替わった本馬は、デビューが昨年12月とやや遅かったが、初戦でいきなりそのポテンシャルの高さを見せつけた。
その血統背景に加えて、調教でも好時計を連発していたため、初戦は単勝1.4倍の断然人気に支持されたペリファーニア。トリッキーな中山芝1600mで、スタートはやや遅かったが、すぐに中団に押し上げポジションを取りに行った。
しかし、最初のコーナーで他馬に前をカットされ、ポジションを大きく下げる絶望的な不利。並みの馬ならこれで意気消沈し、馬群に沈んでもおかしくないところだが、ペリファーニアはそこから再び盛り返し、4角では先頭に並びかける。
道中でかなり脚を使わされていたにもかかわらず、直線でもしっかりと脚を伸ばして、最後は2着馬に2馬身差、3着馬には7馬身差をつける完勝で初陣を飾った。
鞍上を務めた横山武史騎手はレース後、「喉の鳴る部分がありますが」と不安点を挙げた上で、「能力はなかなかな馬です。お兄さんとはタイプが違いますが、背中の良いのは共通しています」とコメント。志半ばでターフを去った兄に代わり、今後の飛躍に期待がかかる。レース史上初となる2戦目でのチューリップ賞制覇はなるか。
キャリア1戦のペリファーニアに対して、すでに5戦して3勝を挙げているのがキタウイング(牝3歳、美浦・小島茂之厩舎)だ。
この世代の牝馬としては唯一、重賞を複数勝っている実績は断然。1つ目のタイトルは昨夏の新潟2歳S(G3)で、スタートで立ち遅れて後方からの競馬となったが、直線で内目に進路を取ると力強く伸びて牡馬を蹴散らした。
続く阪神JFは初めて先行策を取ったが、休み明けもあってか14着。この惨敗で評価は急落していたが、再び後方待機策で臨んだ続くフェアリーS(G3)を4角イン突きの差し切りで、重賞2勝目を挙げた。
3戦ぶりに手綱を取った杉原誠人騎手の好判断も光ったが、それに応えたキタウイングの末脚も改めて評価すべきだろう。
懸念があるとすれば、阪神への長距離輸送。430kg台の小さな馬だけに1か月後の桜花賞も見据えれば、ある程度のプラス体重で臨みたいところだ。
阪神JF6着のドゥーラ(牝3歳、栗東・高橋康之厩舎)も一級品の末脚を持つ。昨夏の北海道で2勝したが、いずれも好発を決めて好位から上がり最速の末脚で差し切るものだった。
2勝目を挙げた札幌2歳S(G3)後は、3か月空けて阪神JFへ。この時は4着に敗れたデビュー戦と同じくスタートで後手を踏み、道中は同じく出遅れたラヴェルと最後方を追走した。直線では馬群を縫うように脚を伸ばしたが6着が精いっぱい。ただし、この時も上がり3ハロンはメンバー最速をマークしていた。
スタートを決めたときは2戦2勝と負けていないだけに、今回もゲートの出がポイント。好位で立ち回ることができれば、優勝候補の最右翼だ。
アリスヴェリテ(牝3歳、栗東・中竹和也厩舎)は、近2走こそ1勝クラスで連続4着に敗れているが、昨秋の野路菊S(OP)はファントムシーフの2着、アルテミスS(G3)はラヴェルの3着と世代の一線級と渡りあっていた。戦績通り相手なりに走るタイプで、今回も軽視は禁物だ。
昨年8月に小倉で新馬勝ちしたコナコースト(牝3歳、栗東・清水久詞厩舎)は、その後間隔を空けてエルフィンS(L)で復帰。5か月ぶりの実戦にもかかわらず馬体重は10kg減っていたが、ユリーシャの2着に好走している。ひと叩きされた効果で、上昇が見込める今回は前走以上の走りに期待がかかる。
重賞格上げ前のオープン時代も含めて、チューリップ賞を5勝している武豊騎手。今年はこぶし賞(1勝クラス)を逃げ粘ったモズメイメイ(牝3歳、栗東・音無秀孝厩舎)とのコンビで権利獲りに挑む。
この他には前走・紅梅S(L)を好位から抜け出して快勝したダルエスサラーム(牝3歳、栗東・高野友和厩舎)、同レース2着のバースクライ(牝3歳、栗東・千田輝彦厩舎)、つわぶき賞(1勝クラス)でダルエスサラームに競り勝ちデビュー2連勝中のルミノメテオール(牝3歳、美浦・金成貴史厩舎)らがスタンバイ。虎視眈々と上位を狙う。
3着までに入り、桜花賞への優先出走権を獲得するのは果たしてどの3頭か。注目のチューリップ賞は3月4日、15時35分に発走を予定している。