「遅生まれの星」ダンスインザダーク、カワカミプリンセスに続けるか!? スプリングS(G2)無敗の大物候補に底知れない魅力
春のG1シーズンが目前となり、東西で前哨戦が繰り広げられている中央競馬。19日には中山競馬場で皐月賞トライアルのスプリングS(G2)が行われる。
戦前の下馬評では、京成杯(G3)で3着に入ったセブンマジシャン(牡3、栗東・高野友和厩舎)、デイリー杯2歳S(G2)を制したオールパルフェ(牡3、美浦・和田雄二厩舎)が上位人気に支持されそうだ。
皐月賞(G1)のチケットを懸けた熱戦が期待されるスプリングSだが、出走予定馬の中で注目したいのは、ホウオウビスケッツ(牡3、美浦・奥村武厩舎)だ。
というのもホウオウビスケッツは6月5日という遅生まれだからである。日本のサラブレッドの多くは出産シーズンである春頃に生まれるため、若駒にとってこの数か月の差は非常に大きい。
実際に、現3歳世代のJRA所属馬(地方転入馬除く、抹消馬含む)4847頭のうち半分以上の2959頭が3月または4月に生まれている。残りは1月、2月、5月のいずれかに生まれた馬が1908頭で、6月生まれはわずか24頭しかいない。そして、この24頭の中で勝ち鞍があるのはホウオウビスケッツのみだ。
しかし、そのような馬の活躍に前例がないわけではない。
カワカミプリンセスは、同じように遅生まれながらクラシック王者になった。2006年2月に3歳新馬で勝利すると、デビューから無傷の4連勝でオークス(G1)を制覇。次戦の秋華賞(G1)でも優勝し、牝馬二冠を達成した。
また、ダンスインザダークも遅生まれながら弥生賞(G2)を制し、日本ダービー(G1)では1番人気に支持された。残念ながらダービーでは2着に敗れたが、秋には菊花賞(G1)を勝利した。
奇しくもカワカミプリンセスの誕生日とダンスインザダークの誕生日は、揃ってホウオウビスケッツと同じ6月5日である。全くの偶然なのだが、なにか運命的なものを感じてしまう。
無敗の大物候補に底知れない魅力
そんなホウオウビスケッツは、これまでのキャリア2戦で高いパフォーマンスを発揮している。
前走のフリージア賞(1勝クラス)では後半5Fを57.7秒という好タイムで駆け抜け、逃げ切り勝利を収めた。この上り5Fのタイムは2013年以降の同コースの3歳限定戦96レースの中で1位。全412レースの中でも11位タイの時計だ。
新馬戦で既に中山は経験済み。初めての重賞のペースに対応できれば、好走が大いに期待できる。
心身共にまだまだ成長途上ながらも非凡な才能を感じさせるホウオウビスケッツ。戦績もここまで2戦2勝の負け知らずであり、もし3連勝でスプリングSを勝つようなら、一躍クラシック候補の一角に名乗り出ることとなる。遅生まれの星は、偉大な先輩に続くことができるだろうか。