武豊のダービー「1枠1番」は逆に邪魔!? ダービー馬キズナ以来の最内枠ゲットで史上最多6勝目に「天啓」も、思い出したい23年前の神騎乗
古馬になってからマイルCS(G1)で3着したように、元から2400mに不安のあったフジノマッケンオー。そこで武豊騎手は、距離ロスを少しでもなくすため1枠の利を最大限に活かすインベタの競馬を試みている。
中盤までの道中は14、5番手の後方で”死んだふり”。そこからコーナーを回るたびにインベタでスルスルとポジションを上げ、なんと最後の直線の入り口では先頭に立っている。
ほぼロスのない完璧な競馬だったが、相手が悪すぎた。一瞬先頭に立ったのも束の間、フジノマッケンオーの走りとはまったく対照的な大外を回って、ナリタブライアンが豪快に突き抜けた。フジノマッケンオーも内で必死に抵抗したが、最後は脚が上がって4着。
ただ、武豊騎手の「神騎乗」がなければ、4着も厳しかっただろう。
今年のダンビュライトに2400mに対する不安はないが、脚質や世代間の立ち位置はフジノマッケンオーの頃に近い。おそらく”先輩”と同じ単勝23倍程度で、つまり「1枠」の優位性を活かした競馬をしなければ、勝つのは厳しい力関係ということだ。
今から23年前、武豊騎手が5つ勝つはずの日本ダービーをまだ1つも手にしていない頃の話だが、果たして「神騎乗」の再現なるだろうか。
もし再現できれば、今度は4着ではなく6度目の戴冠も見えてくるはずだ。何故なら距離に不安のないダンビュライトは、あの時のフジノマッケンオーとは違い、おそらく最後まで止まらないからである。