鈴木和幸の第84回日本ダービー(G1)最終追い切り診断
「クリンチャー」は13番人気の低い評価に反発するように、皐月賞4着前残り。中間も元気いっぱいで長短5本の時計。今週の坂路はG前強めに追って54秒8-39秒4-12秒2、皐月賞時をしのぐタイムが出た。もちろん、調子落ちはないが、前が勝ちすぎているような、アンバランスに映るフォームで強調はできない。
前走の毎日杯(G3)で、のちに皐月賞馬となったアルアインと半馬身の勝負をしている「サトノアーサー」。皐月賞を見送っただけにここにむけての乗り込みは入念も入念、坂路、ウッドで10本もの時計を出している。先週18日にはウッドの長め7Fから98秒4-37秒9-11秒5を併せ馬でいっぱいに。今週はもう長めも強くもやる必要なし、4Fからの馬なりに終始した。その時計が52秒5-38秒1、併走馬を3馬身ちぎったラスト1Fが11秒5の速さ。強く追えば10秒台も出たであろう、地を這うような脚勢、もはやこれ以上は望めない、デビュー以来の最高のデキで大一番に挑める。
「ジョーストリクトリ」は、ウッドの6Fから行き、直線強めで82秒1-38秒6-12秒0が出たが、馬なりの相手を突き放せなかったのが不満。変わり身はない。
「スワーヴリチャード」は皐月賞が脚を余した感じの6着、巻き返しを狙う今回は中間、ハードにハードに乗り込んでいる。18日の1週前追い切りでウッド6F80秒9-36秒3ー11秒7の猛時計が出たように、この時点で90点以上とも思える仕上がり。今週は6Fから行きだしたものの4F標まではゆっくりゆっくり、結局、追ったところなしの馬なりだった。このため、全体時計は84秒5でしかないが、3Fは38秒4で1Fは11秒6と上々。完歩の大きいフットワークはいかにも直線長い東京向きを思わせるし、ゴール寸前自らハミをとってグイッとクビ出たように闘志も満々、再注目しなければならない。
レース間隔がさほどないためだろう、「ダイワキャグニー」の今週は坂路53秒4-39秒0-12秒8馬なりと控えめ、外ラチの方ばかりを向いて、気の悪さも少し。しかし、動きは力強く、ゴール寸前にクビほど出た伸びも悪くなかった。前走勝ちの反動はない。
「トラスト」はウッドの6Fから単走、ゴール前一杯に追って84秒1-39秒0、ラスト1F11秒8をマークしたが、前半をセーブしてのもので、時計ほどの鋭さも感じられなかった。平行線だ。