「芝も、ダートもなかった」中京競馬場!? 名古屋人の誇り日本初の民間放送局が送る伝統のCBC賞は「砂馬場」で誕生

 今週末から夏のローカル競馬が開幕する。

 G1レースも行われる中京競馬場をローカルと称すのは多少失礼な気もするが、私が子供のころ、1969年までは芝コースが無く、さらにダートでもなく何と「砂馬場」だった。

 そして馬券は6枠式連勝単式、ファンは「砂の連単!中京」と呼んで8枠連複以上の高配当を狙いに蝟集(いしゅう)した。順列組み合わせを改めて計算すると、16頭立てならどちらも36通りで同じなんですけどね~。

 そんな中京競馬場、日曜は第59回を迎えるCBC賞(G3)芝1200m。CBCは「ゴゴスマ」でおなじみ、中部日本放送の略だが、実はキー局TBSも敵わぬ「日本初の民間放送局」。種明かしは「ラジオ」なのだが、日本テレビより2年前の1951年開局は名古屋人の誇り。同局は1960年にこのCBC賞を創設、第1~5回は件の “砂馬場”で施行されている。

 歴代優勝馬には伝説のニホンピロウイナーや2001年の統一スプリンター・トロットスターらが名を連ねるが、残念ながら12月開催。ここでは夏開催に絞り2012、2013年と連覇したマジンプロスパーを取り上げたい。

 その名の通り馬主は「ハマの大魔神」佐々木主浩氏。持ち馬が勝つと口取りに元アイドルで奥様の榎本加奈子さんも現れるので眼福にあずかれる。

 2010年7月デビューのマジンプロスパーは新馬戦を3着と惜敗、その後3走連続で1番人気に推されるも4、6、3着と勝ち切れず、佐々木氏と中尾秀正調教師はたった2か月で地方競馬(名古屋)転出を決断。初戦は2着も即、連勝し11月には中央へ再転入。4歳時は4勝を稼ぎオープン馬に昇りつめた。

 いわゆる“出戻り馬”の嚆矢(こうし)で、獲得賞金2億3837万円はまだ首位を譲っていない。

東大式鉄則「勝ちグセついた出戻り馬は要注意」!

 馬も生き物、負けるとめげるがどんなレースであれ、勝つと嬉しい。人間とおなじ「褒めると伸びる君」なのだ。この法則は特に下級条件戦で美味しい配当にあずかれるので座右の銘にしていただきたい。

 そんな“大マジン君”は5歳になり2戦目の阪急杯で重賞初制覇。G1高松宮記念5着をはさんで勇躍駒をすすめたのがCBC賞。浜中俊騎手を背に、スタート直後から2番手集団を進んだ彼は直線でエーシンダックマンを捕らえると、あとは独走。スプリングサンダー、1番人気ダッシャーゴーゴーの鋭い追い込みを退け先頭でゴール。ご主人様のリアル大魔人に迎えられ榎本加奈子夫人とニコニコ顔で勝利写真に収まった。

 同馬は6歳の翌年もCBC賞を連覇、8歳で引退し種牡馬となったが昨年8月、15歳で死去。天国でも大魔神ばりに暴れまわってほしい。

 ここらで「東大馬券王の大よそー」に移ろう。

 昨年、今村聖奈を背に逃げてレコード圧勝したテイエムスパーダが登録してきた。だが去年は小回り小倉開催で48キロの軽量。ことし2走は14、16着で、東大式鉄則「一度調子を崩した牝馬は元に戻らない」。名牝メイショウマンボやアパパネがそうであったように、年頃の乙女は一度心が折れると辛いのだ。思い切って軽視し、本命は4歳牡馬のマッドクールだ。

 前走・春雷S(中山1200m、L)を快勝、2着に下したキミワクイーンは先日の函館SS(G3)を制しているのも評価材料。なにより8戦5勝で3着3回とパーフェクト複勝圏だ。

 この馬を1着軸に3連単フォーメーション、2(3)着に高松宮記念3着のトゥラヴェスーラ、前走鞍馬S追い込み快勝のエイシンスポッターへ手広く流してガッチリ儲かりそうな気がする。3連複を押さえにすると、もう鉄板!しかし、取らぬ狸の皮算用にならぬよう、「オワリ(尾張)よければ全て良し」。お後がよろしいようで……。

尼崎昇

初めて見たダービー馬はタニノハローモア。伝説的な名馬の走りをリアルタイムで見てきた筋金入りの競馬通は「当たって儲かる予想」がモットー。過去に東京大学で競馬研部長をつとめ、スポーツ新聞やラジオ解説を担当した勝負師の素顔は「隣の晩ごはん」や「おもいッきりテレビ」などの大ヒット番組を手掛けたキー局の敏腕プロデューサー。德光和夫、草野仁ら競馬界の著名人との親交もあり、競馬談義を繰り広げる仲である。

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