武豊「大誤算」ドウデュース戦線離脱&魔の29連敗…悲願の凱旋門賞制覇は来年以降に持ち越し濃厚も、秋に楽しみな短距離路線【2023年上半期総括】

武豊騎手 撮影:Ruriko.I

 Et le rêve un jour (そして、いつかの夢)――。

 オフィシャルカレンダーにそう抱負を綴って幕を開けた武豊騎手の2023年。公式サイトで「いろんな含みを想像していただけたらありがたいです」と、その真意を明言することは避けたが、あえてフランス語を用いたことからも、やはり凱旋門賞(G1)制覇へ思いを馳せてのことだろう。

 そんなレジェンドジョッキーにとって、お手馬の筆頭格となるドウデュースの戦線離脱は、最大の誤算だったに違いない。

 始動戦の京都記念(G2)を3馬身半差で圧勝し、昨年の年度代表馬イクイノックスと肩を並べる存在と評価されたドウデュース。しかし、次走のドバイターフ(G1)で出走直前に左前肢跛行を発症し、春全休となってしまった。無事なら、先月の宝塚記念(G1)でイクイノックスとの頂上決戦もあり得ただけに、残念に思っているのは主戦騎手だけではないだろう。

 残念ながら現段階で凱旋門賞の登録馬にその名はなく、秋は国内専念で天皇賞・秋(G1)やジャパンC(G1)、有馬記念(G1)といった秋古馬三冠がメインターゲットになりそうだ。順調にいけばイクイノックスとの激突は必至で、場合によっては今年の年度代表馬の座を懸けた戦いになるかもしれない。

 一方、“エース”の離脱という誤算があったものの上半期39勝は、36勝(年間73勝)だった昨年を上回るペースだ。

ジャックドール 撮影:Ruriko.I

 中でも活躍が目立ったのが重賞戦線で、昨年は同3勝だったが、今年は2倍の6勝。特に4月終了まではジャックドールで大阪杯(G1)制覇など、C.ルメール騎手や川田将雅騎手と共に重賞最多勝争いを演じていたほどの活躍だった。

 ただ、気になるのは6月以降の失速ぶりだ。好調だった5月までとは打って変わって、月間で3勝止まり。5月までの勝率は14.6%だったが、先月は途中で29連敗と武豊騎手にしては珍しい大型連敗もあったため、わずか5.8%と苦しんだ。

 中でも昨年の勝率15.4%と好調だった函館が、6月勝率9.1%まで落ち込んだことは、夏に向けて少し気になるところだ。仕切り直したいこの日(7月1日)も3戦未勝利。近年、夏の武豊騎手は函館・札幌をメインとしているだけに、早めに調子を上げておきたい。

秋に楽しみな短距離路線

 また、秋に向けてはスプリント・マイルに楽しみな若駒がスタンバイしている。

 葵S(G3)で重賞2勝目を挙げたモズメイメイは、初の1200mで超が付くほどのロケットスタートを切るなど、高いスプリント適性を見せた。今後は北九州記念(G3)からスプリンターズS(G1)を目指すことになりそうだ。

 1600mのチューリップ賞(G2)の勝ち馬だが、桜花賞(G1)を13着に大敗したことで陣営は1200mに矛先をチェンジ。これは、武豊騎手にとっても嬉しい路線変更になるはず。

 何故なら、武豊騎手のマイル路線にはオオバンブルマイという世代トップクラスのマイラーが控えているからだ。

 2歳時から京王杯2歳S(G2)を勝つなど、素質の高さを示していたオオバンブルマイ。4月のアーリントンC(G3)で武豊騎手と初コンビを組むと、重賞2勝目を挙げてNHKマイルC(G1)でも3着に好走している。

 先月の安田記念(G1)ではジャックドールに騎乗していた武豊騎手。だが本馬は、秋は得意の2000mに進むことが濃厚。現段階でオオバンブルマイの予定は発表されていないが、マイルCS(G1)を始めとした秋のマイル路線は、おそらくこの馬と歩むのではないだろうか。

GJ 編集部

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