日本ダービーの向正面で「何」があったのか 「動いたルメール」と「動けなかったデムーロ」後手を踏んだ1番人気に”トドメ”を刺した「怨念」?
述べるまでもなく、ペルシアンナイトは皐月賞でデムーロ騎手が騎乗していた馬だ。それも2着という「結果」を残しながら、デムーロ騎手はアドミラブルを選択。無論、勝つためにより強い馬に乗ることは勝負事で当然。誰もデムーロ騎手の判断を責めることはできない。
だが、結果的にペルシアンナイトに先んじられたアドミラブルは出鼻をくじかれ、動くに動けなくなったまま、絶望的な位置からの競馬を強いられたのだ。
「ついてない……外枠で、ペースがめっちゃ遅かった。向正面で分かっていて(ルメールと)一緒に行きたかったが、ペルシアンナイトも行くと、外の外を回ってしまうので……。やっぱり直線も外にどんどんなって、よくなかった。残念です」
この言葉通り、確かにこの日のデムーロ騎手はついてなかった。だが、古来より日本ダービーは「運のよい馬」が勝つレースだ。騎手として、よりチャンスのある馬を選択したのは間違ってなかったかもしれない。だが、あくまで結果的にだが、ペルシアンナイトにつけた”ツケ”を支払わされるはめになってしまった。
そんなことを思うのは、昨年の日本ダービーもまた、結果的にマカヒキを捨ててサトノダイヤモンドに騎乗したルメール騎手が手痛い”しっぺ返し”を食らったのを思い出したからだ。
日本ダービーは1984年のグレード制導入以降、G1で唯一、乗り替わった馬が勝ったことがないレース。そこには「限りなく人馬一体でなければ、ダービーを勝つことはできない」という意味があるといわれている。
その真偽はともかくとして、ならばこそ皐月賞2着馬ながらジンクス的にダービー制覇の目を失ったペルシアンナイトが支払わされた”ツケ”は、ことのほか大きかったのかもしれない。