「その位置じゃないだろう」1番人気スピーディキック差し届かずに地方ベテラン記者も嘆き……結末は「2強対決」あるある?
5日、川崎競馬場で行われた地方交流重賞のスパーキングレディーC(G3)は、JRA所属の4番人気レディバグ(牝5歳、栗東・北出成人厩舎)が優勝。キャリア22戦目にして、これが嬉しい重賞初制覇となった。
レース後、「ずっとコンビを組ませていただいた馬なので、一層喜びというのも大きいですし、とにかく本当に嬉しかったです」と満面の笑みで勝利ジョッキーインタビューに答えたのは、鞍上を務めた酒井学騎手だ。
「追走が厳しいことが多かった」と酒井騎手が振り返ったように、近走は中団~後方からの競馬がほとんどだったレディバグ。しかし、この日は「好発を決めて、そのあともスムーズに逃げ馬の後、2番手のポジションでスムーズに追走してくれていた」と絶好位から勝機をうかがった。
レディバグは2番手のまま直線を向くと、残り150mを切ったところで逃げたノーブルシルエットを交わして先頭に立った。最後は猛追してくる後続をアタマ差で凌ぎ切り、見事に昨年2着の雪辱を果たしている。
平坦な小回りコースでは理想的ともいえる先行抜け出し策で勝利をつかんだレディバグだったが、勝ち馬とは対照的に、後方からの競馬で脚を余す形で敗れたのが“2強”を形成した1番人気スピーディキック(牝4歳、浦和・藤原智行厩舎)と、2番人気グランブリッジ(牝4歳、栗東・新谷功一厩舎)である。
2.0倍と2.4倍という単勝オッズが示す通り、このレースは実績馬2頭による一騎打ちの様相を呈していた。
結末は「2強対決」あるある?
ところが、この2頭は道中で仲良く後方からの競馬。やや落ち着いたペースになったこともあり、4角で5番手まで進出していたスピーディキックは2着、同8番手のグランブリッジは4着にそれぞれ敗れた。
2頭の敗因を探っておくと、まず交流重賞4勝を誇るグランブリッジは距離と斤量が堪えた形だ。昨年4月以降は1800m以上のレースしか使われておらず、前走のエンプレス杯(G2)は2100m。一気に500mの距離短縮を不安視する声も少なくなかった。
また、レース後に川田騎手が「斤量が響きました」とコメントしたように、他馬より3kg重い58kgを背負っていたことも大きかった。さらにスタートで立ち遅れてしまっては、負け戦を強いられるのも半ば必然だったのかもしれない。
一方のスピーディキックは、連続6着だった近2走(フェブラリーS、かしわ記念)は牡馬が相手のG1。しかし、今回は牝馬限定のG3で負担重量が他馬と同じ55kgなら、ファンが1番人気に支持したのも頷ける。
さらにスタートはグランブリッジと対照的に、こちらは大外枠から好発を決めた。あとは流れに乗るだけだったが、鞍上の御神本訓史騎手はライバル馬を意識しすぎたのか、スタート後は内のグランブリッジをチラチラと見ながら控える競馬。向正面でようやく捲り気味に進出を開始し、外からグランブリッジを一気に交わし去っていったが、時すでに遅し……。
結果的に、レース前半の位置取りが仇となった。
この御神本騎手の騎乗にチクリとコメントしたのが「グリーンチャンネル地方競馬中継」で解説を務めていた『日刊競馬』のベテラン吉川彰彦記者だ。
吉川記者は番組内の予想でスピーディキックを1着固定にした予想を披露。期待を胸にレースを見守ったが、結果は先述の通り。レースを振り返った場面では、「『その位置じゃないだろう』という感じで見ていました……」と、本命馬の想定外の位置取りに、そうこぼすしかなかったようだ。
「ここ2戦に比べると力を出しています。首の上げ下げに持ち込めましたし、この馬の競馬はできました」
レース後、御神本騎手はそう語り、前を見据えた。しかし、吉川記者も吐露したように位置取りに関しては、グランブリッジを意識しなかったといえばウソになるだろう。ある意味で“2強対決”を体現するようなレースになったともいえるのではないだろうか。
PICK UP
Ranking
17:30更新- J.モレイラ「出禁回避」へ負けられない戦い! 桜花賞馬ステレンボッシュは「騎乗不可」、日本ダービーでも悩ましい選択?
- JRA「理由なき」単勝115.9倍の皐月賞(G1)勝利に呆然……ナリタブライアンのレコードを塗り替えたのは、約110億円分を一瞬で「紙クズ」にしたお騒がせホース
- 【日本ダービー】「力があるね」「大したもん」田原成貴氏&安藤勝己氏も高評価!打倒ジャスティンミラノに「最大の惑星」が名乗り
- C.ルメールが「過怠金」横山典弘が「騎乗停止」に賛否両論!? 覚悟の突撃と不可抗力…JRAの一貫した判断とは
- 35年ぶりのJRA最多勝記録更新も視野!? 川田将雅に匹敵する3着以内率62.2%…今「最も信頼できる騎手」森一馬が凄い!
- 田原成貴「頭がお花畑」安藤勝己「最悪の負け方」元JRA騎手の大物が酷評…大一番で弱点露呈のシュトラウス、有馬記念のT.マーカンドに不安の声?
- ナミュール、マスクトディーヴァは大丈夫?高速馬場の「カラクリ」に要注意…歴代最高「2070万馬券」の大波乱はなぜ起きた【ヴィクトリアマイル】
- テーオーロイヤル、ドゥレッツァの骨折も無関係ではない!? タイムトライアルのような京都の高速馬場…宝塚記念前の「怪時計連発」に懸念の声
- 「オーナーの逆鱗」に触れた原優介が突然のクビ宣告!? 【NHKマイルC】アスコリピチェーノ主戦を背に追い切りも【日本ダービー】武豊がキタサンブラック弟と挑む最多7勝目【週末GJ人気記事ぶった斬り!】
- J.モレイラ、日本ダービー「本命」はレガレイラを破った4.5億円ホース!? 皐月賞2着コスモキュランダ乗り替わり発表から、鮮やかな優駿切符ゲット!