福永祐一の「置き土産」を川田将雅が大絶賛! 徒労のダイエットと前走のリベンジにも成功…驚異の上がり3ハロンは史上最速?
15日に盛岡競馬場で行われたクラスターC(G3)は、川田将雅騎手が騎乗したリメイク(牡4、栗東・新谷功一厩舎)が、単勝1.6倍の断然人気に応えて圧勝。前走のプロキオンS(G3)で先着を許したドンフランキーを2馬身半も置き去りにしてみせた。
川田騎手も「無事に勝ち切れて何よりです」「これからもすごく楽しみな将来が待っている馬」とレースを振り返ったように文句なしの完勝だ。
プロキオンSは57キロのドンフランキーに対し、リメイクは1キロ重い58キロを背負ってクビの惜敗。同じ55キロで再戦なら負けるわけにはいかなかった。普段は辛口な人物から大絶賛といえるコメントが出たのも頷ける。
川田騎手にとっても、リメイクは引退した福永祐一騎手(現調教師)から託された「置き土産」といってもいい存在。尊敬する先輩が高い評価を与えていた馬だけに、まずはホッとしたところだろう。昨年のクラスターCでは51キロで出走することもあり、決意のダイエットを敢行したものの、無念の除外。前年の不戦敗と前走で不覚を取ったライバルの両方でリベンジに成功した。
「プロキオンSのドンフランキーは自分のリズムでハイペースを刻んでリメイクの追撃を凌ぎましたが、クラスターCは川田騎手の巧みな手綱捌きも光りました。内を空けて逃げていたドンフランキーは600キロ近くある超巨漢馬。小回りの盛岡で遠心力もあって4コーナーをタイトに回れないところもありました。
これに対し、道中を中団から進んだリメイクは勝負どころで加速した各馬が外を回す中、徐々に加速する格好でガラガラになったインからコーナーワークを生かして先頭に並び掛けるクレバーな選択。交流重賞で無類の強さを誇る川田騎手らしい進路取りだったと思います」(競馬記者)
驚異の上がり3ハロンは史上最速?
勿論、結果だけを見れば断然人気馬が楽勝したことにスポットライトが当たるこのレースだが、特筆すべきはリメイクがマークした上がり3ハロンの数字である。重のダート1200mで時計の出やすくなっている盛岡競馬場とはいえ驚異の33秒5。これは2番目に速かった8着のアポロビビ(34秒5)を1秒も上回っていた。
こんな数字は滅多にお目に掛かれないと調べてみたところ、JRA主催のダート1200m条件で最速は2016年11月のオータムリーフS(OP)でナガラオリオンの33秒7(不良・京都)、2番目が12年6月の天保山S(OP)でマルカベンチャーが33秒8(稍重・阪神)を記録していた程度。いずれも2着に敗れていたことを考えれば、他馬を圧倒したリメイクの33秒5の凄さが伝わるだろう。
ちなみに伝説の追込みとして多くのファンが支持する20年の根岸S(G3)でブロードアピールがマークした上がり3ハロンですら34秒3であり、今回のリメイクはそれを0秒8も上回った。
川田騎手があまりにスムーズに乗りこなしてしまったため、見た目のインパクトでは届くかどうかハラハラする展開とはならなかったとはいえ、リメイクのレース内容は非常に価値のあるものだったといえるのではないか。