生命の奇跡を信じたい「ホエールキャプチャ2017」の凄絶な闘病とデビューへの期待
2012年のヴィクトリアマイル(G1)を制したホエールキャプチャ。現役時代に優秀な成績を残していたため、15年の引退後も繁殖牝馬としてかけられている期待は大きく、昨年、三冠馬オルフェーヴルとの間に誕生した産駒は1億7000万縁で落札されている。
今年もキングカメハメハとの間に産駒が誕生。こちらも良血馬として大きな期待がかけられていたが、このホエールキャプチャ2017が「生死の境をさまよっていた」と話題になっている。
生産者である千代田牧場のHPによれば、ホエールキャプチャの産駒牝馬は4月25日の夕方に誕生。仔馬は生まれてから30分ほどで立ち上がったそうだが、その晩から飲んだ乳が鼻から漏れるなど様子が激変。翌日にはノド鳴りに加えて誤嚥性肺炎を起こしたため、クリニックにかかったという。
検査後、仔馬はノドにある食道の一部が細く、飲食物が詰まりやすくなる「先天性食道狭窄症」だと診断される。また仔馬の場合はそれに加えて、食道の筋肉がうまく蠕動していなかった。そのため狭窄を改善できても食べ物を送りこめないでいた。馬は誤嚥や食べ物の詰まりがあると肺炎などの感染症を誘発しやすくなる。これまでも多くの馬が感染症によりこの世から去った。この時の仔馬の状態は、クリニックの獣医が”楽にする”方法も暗にほのめかすほど、差し迫った状態だったという。
だが、生産した千代田牧場のスタッフたちは諦めることなく、仔馬に経鼻カテーテルを通すように獣医に嘆願。なんとか牧場に戻ることができた仔馬は、スタッフから2時間おきに高タンパク補液と経鼻哺乳を与えられて命を繋いだという。
それから2週間が経った。いつまでもこのままではいられないと判断したスタッフは、カテーテルを外すことを決断する。その後、最初はシリンジからでしかミルクが飲めなかった仔馬は、500ccの哺乳瓶のミルクを一気に飲めるようになり、また蒸して柔らかくした飼葉も食べられるようになった。少しずつ元気を取り戻していく仔馬。それでも、誤嚥による感染症や潰瘍はいつ起こってもおかしくない状況は変わらず、スタッフたちも気が気ではなかったようだ。
この現状を知ったネットユーザーや競馬ファンからは、仔馬に対して熱い声援が送られていた。