C.ルメールが「モーリス級」と評したクラシック候補が試金石、5年ぶりの勝利を目指す新潟記念…ブラストワンピース2世となれるか

撮影:Ruriko.I

 今年の夏競馬を締めくくる新潟記念(G3)は、好メンバーが揃う一戦となりそうだ。

 1日現在、『netkeiba.com』が公開している予想オッズによると、サリエラ(牝4、美浦・国枝栄厩舎)が単勝1番人気の想定。本馬は父にディープインパクト、母はドイツオークス(G1)を制したサロミナという血統。半兄に2019年の朝日杯フューチュリティS(G1)を勝ったサリオスや2020年の有馬記念(G1)で2着に入ったサラキアを全姉に持つ超良血馬である。

 4歳の秋を迎えたサリエラだが、キャリアはまだ5戦と底を見せていない。そのスケール感の大きさには、管理する国枝調教師も「もっと大きなところに行くと思う馬」と期待を寄せているほどで、“暑さが苦手”なことで有名なC.ルメール騎手が、比較的涼しい札幌から移動してまで暑い新潟で騎乗することも、本馬に対する期待の表れだろう。

ノッキングポイント 撮影:Ruriko.I

 そんなルメール騎手が、かつて「モーリス級」と絶賛したのが、同じく『netkeiba.com』で2番人気に想定されているノッキングポイント(牡3、美浦・木村哲也厩舎)だ。

3歳馬にとって鬼門となる新潟記念

 新潟記念で手綱を取るのは、日本ダービー(G1)で15番人気の低評価を覆して5着に導いた北村宏司騎手だ。続投したのは厩舎の主戦を務めるルメール騎手がサリエラに騎乗する関係もありそうだが、ノッキングポイントもルメール騎手が「モーリスっぽさがあり、能力があります」と評していた素質馬。初の古馬相手のレースとはいえ、能力は見劣らないはずだ。

 血統的にもオークス(G1)2着のチェッキーノを母に持ち、新馬戦を圧勝したときにはすぐさまクラシック候補と呼ばれた逸材だ。その後の重賞で連敗したため、大きく評価を下げていたが、デビュー時の評価を思えば、日本ダービーの5着も驚くほどではないかもしれない。

 木村調教師も「重賞を使うにあたって恥ずかしくない状態」と自負しており、万全を期して迎えられそうだ。

 ただ、新潟記念に出走した3歳馬の好走例が、あまりないのは懸念材料のひとつ。過去20年の傾向を振り返ると、12頭が出走して1勝のみ。古くはスクリーンヒーロー、近年ではフェーングロッテンやラーゴムといった重賞勝ち馬が挑戦したものの、古馬の厚い壁に阻まれた。

 多くの3歳馬が苦戦をする中、ただ1頭気を吐いたのが、2018年のブラストワンピースだ。本馬は新潟記念を勝利した後、1番人気に推された菊花賞(G1)で4着に敗れたものの、暮れの有馬記念を見事に優勝。惜敗の続いたクラシックの鬱憤を一気に晴らすことに成功した。

 そのブラストワンピースに重なる部分が、今年のノッキングポイントにもあるという。

「これは偶然ですけど、毎日杯(G3)から日本ダービー5着を経て新潟記念のローテーションはノッキングポイントも同じです。また、今年の3歳世代のレベルを推し量る意味でも注目したいレースです。重賞勝ちがないことと、下馬評の高さでは見劣りますが、もし新潟記念を勝つようなら秋のG1で出番があるかもしれませんよ」(競馬誌ライター)

 そして何よりも心強いのは木村厩舎の勢いだ。同厩舎は8月27日現在で7勝を挙げて新潟リーディングを独走中。その勝率も40%を超えているほど絶好調なのだ。

 今年の日本ダービーで2番人気の支持を集めたスキルヴィングが命を落とす痛ましいアクシデントも経験した。ノッキングポイントには、志半ばで天国に飛び立った僚馬の分まで頑張って欲しいものである。

GJ 編集部

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