先週重賞を勝った調教師が「代打オレ」で騎手デビュー!? JRA発表の2024年「新人騎手」が話題に

撮影:Ruriko.I

「アリガトウゴザイマス!」

 先週のきさらぎ賞(G3)は、1番人気のビザンチンドリームが勝利。鞍上のR.ピーヒュレク騎手は、これが日本の重賞初勝利となった。今年、初の短期免許で日本競馬に参戦したが、これが3勝目と苦戦を強いられている。それだけに「実は『負けた』と思っていました。勝つことができたのは、関係者の皆さまのおかげ。本当にうれしいです」と喜びもひとしおだったようだ。

 その一方、「うれしいです」と素直に喜びを表した坂口智康調教師は、2022年にエイシンクリックで阪神スプリングジャンプ(G2)を勝利しているが、これがJRAの平地初重賞。厩舎にとってもメモリアルな勝利となった。

 この勝利で管理馬と共にクラシックの大舞台を目指すことになった坂口調教師だが、そのわずか2日後に「思わぬ形」で話題になることを予想していただろうか。

JRA発表の2024年「新人騎手」が話題に

 坂口調教師がきさらぎ賞を勝った2日後の6日、JRAが2024年度の新規騎手免許試験合格者8人を発表。この8名は3月から新人騎手としてデビューを果たすことになるのだが、その中に「坂口智康」の名があったのだ。

 現役調教師が、まさかの騎手転向か。いや、調教師を引退していないのだから、騎手と調教師の兼業ということになるのか……。

 実際に現在こそいなくなったが、戦前の競馬界では自らの手で仕上げた馬に乗ってレースに出走するという騎手と調教師の兼業が当たり前の時代だった。代表的な稲葉幸夫騎手兼調教師は、日本ダービーや有馬記念などの八大競走を13勝もした名手兼名伯楽である。

 現在で挙げれば、例えば今週の共同通信杯(G3)と京都記念(G2)をベラジオボンドとベラジオオペラでW獲りを目指す上村洋行調教師は、サイレンススズカやスリープレスナイトなどに騎乗した元ジョッキーで、厩舎開業後も管理馬の追い切りに騎乗している。

 様々な物事が物凄いスピードで進化し続けている現代、坂口調教師は新たな調教師のスタイルに挑戦しようとしているのだろうか。まさに元ヤクルトスワローズの選手兼任監督だった古田敦也氏の「代打オレ」である。新人の「坂口智康」騎手が平地に比べて体重制限の優しい障害専門でデビューすることも、なんだか真実味に拍車を掛けていると言えなくもない。

 だが、そんなはずはない。何故なら、1939年にJRAが騎手・調教師免許の二重所持を禁止する「調騎分離」を打ち出しているからだ。

 よくよく調べてみると、どうやら新人の「坂口智康」騎手は、坂口智康調教師とはまったく同姓同名だそうだ。2020年から尾形和幸厩舎で調教助手をしており、そこから騎手デビューという異例の経歴の持ち主。『東スポ競馬』の取材によると、本人も同姓同名の調教師がいることを知っており、「夢が叶うといいな」とコンビ結成の時を楽しみにしているという。

 騎手が坂口智康、調教師も坂口智康。果たして、コンビ結成の暁にはJRAの公式ホームページなどでは、どのように表記されるのだろうか。「調教師って、騎手もやっていいの?」と誤解を招くファンが出るかもしれないが、今から楽しみだ。

GJ 編集部

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