ノーザンファームが「種付料100万円」種牡馬に興味津々!? 「まだ伸びしろがある」C.ルメール称賛のウィンターベルだけじゃない。第2のクロノジェネシス登場の予感
バゴ産駒のウィンターベルが開幕新馬を快勝!
1日、東京競馬場で行われた2歳新馬はC.ルメール騎手の2番人気ウィンターベル(牡2歳、美浦・木村哲也厩舎)が勝利。ルメール騎手×木村厩舎×ノーザンファームといえば、昨年の年度代表馬イクイノックス、そして先月のオークス(G1)を制したチェルヴィニアなど、今最も勢いのあるコンビだけに、今後の活躍が楽しみだ。
そんなウィンターベルだが、大きな特徴の1つが父バゴの存在ではないだろうか。
宝塚記念(G1)と有馬記念(G1)の春秋グランプリ制覇を達成し、JRAの特別賞を受賞するなどクロノジェネシスが大活躍した2020年から4年。稀代の女傑を輩出したことで一躍注目を集めた「バゴ」の名は、今ではすっかり見る機会が少なくなった。
今年の種付料はわずか100万円。現役代表産駒のステラヴェローチェが3月の大阪城S(L)で約2年半ぶりの白星を挙げたことは一条の光と言えるものだが、バゴが種牡馬として崖っぷちにいることは間違いないだろう。
その最大の原因になっているのが、クロノジェネシスに続く「二の矢」を放てなかったことだ。
実際に、バゴ産駒の賞金王は約11億円のクロノジェネシスが断トツの存在で、2位はステラヴェローチェの約3億5000万円と大きく差がついている。例えば、キタサンブラックがイクイノックスという超大物を輩出した翌年に皐月賞馬ソールオリエンスが出現したことで一気に種牡馬界のトップに上り詰めているように、種牡馬にとって二の矢を放つことは極めて重要だ。
残念ながらバゴはそれができずに種牡馬争いの波に埋もれてしまった結果、“一発屋”“大物狙い”といった不安定さを示すイメージが定着してしまっている。
だがここに来て、そんなバゴのイメージが大きく覆るかもしれない。日本競馬界の頂点をほしいままにしているノーザンファームが動いたのだ。
通算6頭→今年7頭の大増加!? バゴ×ノーザンファームに注目
2004年の凱旋門賞、パリ大賞(いずれも仏G1)を勝つなど輝かしい成績を残して日本で種牡馬入りしたバゴだが、日本軽種馬協会の静内種馬場に繋養されていたこともあって、元々ノーザンファームとは縁が薄かった。
クロノジェネシスと共に日本の競馬ファンにその名を知らしめたバゴだが、実はノーザンファーム産のバゴ産駒としてJRAでデビューした馬は、昨年までで6頭しかいない。
しかし、そのわずか6頭からクロノジェネシスやステラヴェローチェといった大物が出現。他にもブラックバゴがアンドロメダS(当時OP)を勝つなど、5頭が勝ち上がっている。これはあらゆる面で優秀な数字が並ぶノーザンファームでも驚異的なアベレージだ。
そんな相性抜群のバゴ×ノーザンファームだが、実は今年の2歳に7頭もいる。
無論、そのすべてがJRAでデビューすることが決まったわけではない。だが、開幕からウィンターベルがデビュー戦を飾っただけでなく、エリザベス女王杯(G1)を制した母ラキシスの仔ミラージュナイトや、有馬記念を勝ったブラストワンピースの甥ヴィクトワールバゴといった良血まで控えているのだから、これは“第2のクロノジェネシス”登場の予兆かもしれない。
「ちょっと他の馬を気にしていたけど、最後は能力を見せてくれました。まだ伸びしろがありますね。距離は1800mや2000mでも大丈夫」
レース後、ルメール騎手からそう将来を期待されたウィンターベル。これまでわずか6頭の「バゴ×ノーザン」がいきなりの“倍増”。天下無双の最強牧場が動いたことは、窮地に立つ凱旋門賞馬にとって極めて大きな追い風と言えるだろう。