元JRA田原成貴氏「付け入る隙はいっぱいある」トウカイテイオー孫に辛口評価も不安一掃の快勝劇!安藤勝己氏と「見解一致」果たして秋の大目標は
9日、東京競馬場で行われたエプソムC(G3)は1番人気のレーベンスティール(牡4歳、美浦・田中博康厩舎)が優勝。59kgの斤量も全く問題にせず、昨年のセントライト記念(G2)に続く重賞2勝目をマークした。
レース後、鞍上を務めたC.ルメール騎手は「田中調教師から、状態はバッチリだと聞いていたので、自信を持って乗りました」とレース前の心境を明かし、「スタートが良く、良い位置につけられましたし、3~4コーナーの手応えはとても良かったです。直線では段々と加速して、楽に勝つことができました」と会心の勝利を振り返った。
レーベンスティールといえば、2022年秋の新馬戦でのちの皐月賞馬ソールオリエンスと激闘を演じた素質馬だ。ただ、春のクラシックには間に合わず。セントライト記念でソールオリエンスに借りを返したものの、菊花賞(G1)をパス。近2走は香港ヴァーズ(G1)で最下位8着、休み明けの前走・新潟大賞典(G3)で11着惨敗と精彩を欠いていた。
そんな中で本来のパフォーマンスを見せての快勝劇には、田中博調教師はじめ陣営もホッと胸をなで下ろしたに違いない。
2戦続けての大敗にもかかわらず同馬を1番人気に支持したファンの慧眼も見事だったが、戦前はレーベンスティールを不安視する声も決して少なくなかった。
元JRA騎手で、現在は『東京スポーツ』に在籍する田原成貴氏も「付け入る隙はいっぱいある」と話していた一人だ。
レーベンスティールのメンタル面を不安視していた田原成貴氏
田原氏はレース前日の8日、『東京スポーツ』の公式YouTube『東スポレースチャンネル』に出演。『【東スポ競馬LIVE】元天才騎手・田原成貴氏「エプソムカップ2024」展開予想やります!前日ライブ予想会~函館スプリントSも予想します~《東スポ競馬》』と題して、ライブ配信を行った。
その中で田原氏は、レーベンスティールについて「(昨秋の)セントライト記念の状態」にあれば、他馬をちぎってもおかしくないとその能力を評価。ただし、セントライト記念の時に比べると、今回は「(他馬に)付け入る隙はいっぱいある」という見立ても同時に示した。
田原氏がレーベンスティールを不安視した大きな理由の一つが新潟大賞典での凡走だ。ローカルG3での不可解な惨敗を受け「(レーベンスティールは)精神的にもへこたれているだろうし」「追い詰めるタイプかもしれない」と同馬のメンタル面を推察。「カウンセリングに呼びたいくらい」と、同馬への心配を口にし、そこからの巻き返しは容易ではないと結論付けた。
「レーベンスティールといえば、母の父がトウカイテイオーということでファンからの人気が高い馬。そのトウカイテイオーを1年ぶりの有馬記念(G1)で復活Vに導いたのが騎手時代の田原氏です。そんな背景もあって田原氏は、応援したいが全幅の信頼は置きづらいという評価を下したようです」(競馬記者)
そんな田原氏の心配をよそにレーベンスティールは快勝。それに対し、田原氏はレース後、自身のXに「もう少し落ち着いてくれば、まだまだ良くなると思う」とポストし、気性面の改善が見られれば、さらに上の舞台でも活躍できるはずと太鼓判を押した。
そして田原氏は同馬の適性距離についても言及。「1600~1800くらいが適正かな」(原文ママ)という見解も披露した。
「レーベンスティールはキャリア9戦全てで1800m以上の距離を走っています。昨年末には2400mの香港ヴァーズを使われたように、陣営は1800m以上に適性があるとみていたはず。
ただ田原氏に加えて、元JRA騎手の安藤勝己氏も『本質マイラーかなって印象』と、自身のXに投稿。かつての名ジョッキー2人の意見が一致したことで、今後の路線にも注目が集まるかもしれません」(同)
レース前はメンタル面を不安視されたレーベンスティールだが、新コンビのルメール騎手の見事な手綱さばきもあって評価は再上昇。秋のG1でも楽しみな存在となった。
果たして秋の大目標は天皇賞・秋(G1)となるのか、それとも―――。今後のレース選択にも注目が集まる。