3代母は武豊と桜花賞を制覇!乳母に育てられた“オグリ一族”の末裔…「単勝158.5倍」伏兵が関東オークス(G2)で波乱を演出!
「素直に嬉しいです」「皆さんに感謝したいと思います」
弱冠二十歳の田口貫太騎手が2年目にして重賞初制覇を飾った。
12日、川崎競馬場で行われた関東オークス(G2)は、田口騎手が騎乗した1番人気のアンデスビエントが2着のミスカッレーラに7馬身差をつけて圧勝。好スタートからハナを切ると、うまくスローペースに落とし込み、最後の直線に入ってからは後続との差は広がる一方だった。
この日が母の誕生日だった田口騎手にとっても、最高のバースデープレゼントになったのではないだろうか。
関東オークスにはアンデスビエントを含めてJRA勢が4頭出走していたが、他の3頭は8~10着に惨敗。地方所属馬が2~7着を占め、地方競馬ファンを喜ばせる結果となった。
中でも3着に食い込んだグラインドアウト(牝3歳、高知・田中守厩舎)の激走に驚かされたファンも多かったはずだ。
単勝オッズ158.5倍グラインドアウトが3着に激走
2歳時に高知で7戦2勝、3歳になってからは、佐賀と園田で3戦2勝、計10戦4勝という成績で関東オークスを迎えたグラインドアウト。これまでJRA勢はおろか、南関東の一線級とも未対戦だったため、単勝オッズ158.5倍が示す通り、注目度は決して高くなかった。
ところが、スタートを無難に決めたグラインドアウトは、道中ちょうど中団の6番手を追走。1周目のホームストレッチまでに上手くインに潜り込むと、終始経済コースを進んだ。
レース後、鞍上の赤岡修次騎手が「夢を見ました。3コーナーの手応えが本当に良くて、勝つかと思いました」と、興奮気味にコメントを残したが、ペースが上がった勝負所の3~4コーナーでも抜群の手応え。徐々に位置を押し上げていき、アンデスビエントを射程に入れる3番手で直線を迎えた。
最後の直線で勝ち馬にちぎられはしたが、ミスカッレーラと壮絶な2着争い。ゴール前で脚が鈍り、半馬身及ばなかったが、三連単17万8750円の波乱の片棒を担いだ。
単勝オッズからも分かる通り、超がつく伏兵だったグラインドアウトだが、実はその血統はオールドファンになじみ深いものだ。同馬の3代母は、武豊騎手とのコンビで1994年の桜花賞(G1)を制したオグリキャップの妹オグリローマン。つまり本馬は伝説の名馬オグリキャップの近親にあたる。
“オグリ一族”グラインドアウトの激走を受けて、同馬を生産した稲葉牧場もXに「ただ出るだけと思ってた関東オークス、オットよく頑張ってくれた!今後も楽しみ!ありがとう」とポストしていた。
オットとはグラインドアウトの幼名で、同牧場のXでは今もその名前で呼ばれている。そのオットことグラインドアウトだが、実は誕生直後に母馬を亡くしているという。
「グラインドアウトが生まれてすぐに母馬のクィーンロマンスが体調を崩して亡くなっています。ただ、ちょうど同時期に子供を亡くしたケージーハッピーという繁殖牝馬が乳母となり、本当の母馬のようにオットを育てたとか……。稲葉牧場さんにとっても、今回の好走には感慨もひとしおだったのではないでしょうか」(競馬記者)
オグリ一族から久々に現れた注目株、高知のグラインドアウトには今後も要注目だ。