「17対3」の雪辱に燃える社台ファームが絶好調!ノーザンファームは宝塚記念に精鋭ズラリ…覇権をかけた直接対決が面白い
2月のフェブラリーS(G1)からスタートした今年の春のG1。3歳世代のクラシックに続き安田記念(G1)も終了し、あとは23日の宝塚記念(G1)を残すのみとなった。
これまで「11戦」のG1が行われ、毎週のように新たなドラマが見られたわけだが、すべて勝利騎手が違っていることでもファンの注目を集めた。こちらについては、2002年以来22年ぶりらしいが、当時は大阪杯(G1)やヴィクトリアマイル(G1)の創設前であり、レース数も「9戦」と2つ少なかった。これは1984年グレード制導入以降、史上初の珍事ということらしい。
22年ぶり珍事にルメール騎手の不在も影響か
「こうして振り返ると結果的に珍事が発生したとはいえ、あと一歩で歴史が変わっていたと思えるレースもありました。桜花賞とNHKマイルCでともに2着に敗れたアスコリピチェーノも惜しかったですし、ヴィクトリアマイルで3着に敗れたマスクトディーヴァもJ.モレイラ騎手が直線の不利がなければ勝っていたと悔しがっていました。
他にもオークスのステレンボッシュや日本ダービーのジャスティンミラノなど、勝っても不思議ではなかった馬が結果的に2着に負けてしまいましたね。それとC.ルメール騎手が大阪杯から天皇賞・春まで4回不在だったことも影響したかもしれませんね」(競馬記者)
この珍事に関しては、宝塚記念で1番人気が予想されているドウデュースの主戦を務める武豊騎手がここまで今年のG1を勝っていないことが、逆に朗報となるかもしれない。もちろん、グランプリで既にG1勝利のある別の騎手が終止符を打つ可能性もあれば、スポット参戦で騎乗するD.レーン騎手がさらに記録を伸ばすオチもあるだろう。
その一方で、生産者別のG1勝利数を確認してみると、少々意外な結果となっていることにも気付いた。
■春G1の優勝馬(生産者)、勝利騎手
フェブ ペプチドナイル(杵臼牧場)、藤岡佑介
高松宮 マッドクール(Moyglare Stud Farm Ltd)、坂井瑠星
大阪杯 ベラジオオペラ(社台ファーム)、横山和生
桜花賞 ステレンボッシュ(ノーザンファーム)、J.モレイラ
皐月賞 ジャスティンミラノ(ノーザンファーム)、戸崎圭太
天皇春 テーオーロイヤル(三嶋牧場)、菱田裕二
NHK ジャンタルマンタル(社台ファーム)、川田将雅
ヴィク テンハッピーローズ(社台ファーム)、津村明秀
オーク チェルヴィニア(ノーザンファーム)、C.ルメール
ダービ ダノンデサイル(社台ファーム)、横山典弘
安田記 ロマンチックウォリアー(Corduff Stud & T.J.Rooney)、J.マクドナルド
※敬称略。フェブ=フェブラリーS、高松宮=高松宮記念、天皇春=天皇賞・春、NHK=NHKマイルC、ヴィク=ヴィクトリアマイル、オーク=オークス、ダービ=日本ダービー、安田記=安田記念
最多4勝を挙げていたのは社台ファーム。これに3勝のノーザンファームが続いて、残りの生産者は1勝ずつという結果だった。
先ほど少々意外と評したことには理由がある。なぜなら近年のG1レースにおいて、勝利数でライバルを圧倒していた絶対王者ノーザンファームが2位に甘んじていたからだ。
実際、昨年の年間G1勝利数は、ノーザンファーム17勝に対し社台ファーム3勝と大差勝ち。2年前も12対3で3年前は、ノーザンファーム14勝で社台ファームが未勝利に終わっていたことを考えると、今年の社台ファームがいかに好調なのかが伝わるだろう。
しかも上半期でまだ宝塚記念が終了していない段階で、社台ファームは昨年の年間3勝をすでに超える4勝を挙げていたのだ。
ちなみに宝塚記念に登録があるのは13頭。ドウデュース、ジャスティンパレス、ローシャムパークといった精鋭3頭を送り込む絶対王者ノーザンファームに対し、ベラジオオペラ、ソールオリエンス、ルージュエヴァイユ、ヒートオンビートの4頭で迎え撃つ社台ファームという構図だ。
まだ今年のG1で2勝目を挙げた騎手のいない珍事だけでなく、生産界の覇権をかけた直接対決も面白い上半期の総決算となりそうだ。5勝目を挙げて社台がリードを広げるか、4勝目を挙げてノーザンがタイに持ち込むか、それとも……。