「中99週」ブラックブロッサム復活Vに「もっと上を目指せる馬」!過去にそれ以上のロングシュート決めた馬も

イクイノックスは同世代 撮影:Ruriko.I

 近年はノーザンファーム天栄やノーザンファームしがらきなど外厩施設の充実もあって、“休み明け”や“ぶっつけ本番”というワードも、以前ほどネガティブな意味合いで受け取られなくなりつつある。

 それでも1年以上の長期休養を挟んでいきなり勝利する馬は今もレア。骨折や屈腱炎など何かしらのアクシデントがあって、休まざるを得なかったケースも多いからだ。

 それだけに近年まれに見る長期ブランクを克服したブラックブロッサム(牡5歳、栗東・斉藤崇史厩舎)が、先週土曜(15日)の京都競馬で久々の勝利を挙げたことには価値がある。

ブラックブロッサム復活Vに「もっと上を目指せる馬」

 キタサンブラックの初年度産駒として、3歳時の22年1月にデビューVを飾ると、2戦目の大寒桜賞(3歳1勝クラス)は8馬身差で勝利。一躍クラシックの有力候補に名乗りを上げた。

 日本ダービー(G1)も見据えて出走した3戦目の京都新聞杯(G2)こそ5着に敗れたが、一息入れて迎えた4戦目の信夫山特別(2勝クラス)を完勝。順調なら菊花賞(G1)でも上位人気の一角を担っているはずだった。

 ところが菊花賞を前に屈腱炎を発症し戦線離脱。再起を誓って北海道に戻ったものの、回復には想像以上の時間を要した。

 そして迎えた15日の保津峡S(3勝クラス)は、前走から1年11か月ぶりの実戦。競馬ファンになじみのある言い方をすると、「中99週」での出走だった。

 クラシック候補とまで呼ばれた素質馬とはいえ、2年近くも実戦から遠ざかっていれば半信半疑のファンも多かったはずだ。ところが、目の肥えたファンはブラックブロッサムを単勝4.5倍の2番人気に支持した。

 初コンビの団野大成騎手を背にブラックブロッサムは五分のスタートを切ると、行き脚もついた様子でスムーズに2番手の好位を確保。道中の折り合いもしっかりとついて、3コーナーの坂の下りからロングスパートを開始すると楽な手応えで早め先頭へ。最後の直線では内から必死に抵抗するマコトヴェリーキーの追撃をクビ差で凌ぎ切った。

「今日は無事に復帰して結果を出せて良かったです」

 レース後、団野騎手はそう話し胸を撫で下ろすとともに、「もっと上を目指せる馬ですし、それくらいの器です」と強気な発言。あっさりとオープン入りを決め、5戦4勝とした自厩舎の好素材を高く評価した。今後の重賞路線でも勝ち負けが期待できそうな内容だったといえるだろう。

過去にはブラックブロッサム以上のブランクを克服した馬も

 1986年以降、中99週以上の休み明けで勝利したのはブラックブロッサムが25頭目だったが、その中で最長ブランク勝利を飾ったのが、1993年に中144週で500万下(現1勝クラス)を制したタマビッグホープという馬である。

 同馬は3歳1月のデビュー戦から約半年間で10戦したが、1勝にとどまっていた。3歳の夏から長期休養に入り、ようやく復帰を果たしたのが6歳となった5月。休養前から3年近い時間が流れていた。

 しかし、藤田伸二騎手(当時)を背に復帰戦をあっさりと制し、2勝目をゲットすると、そこから約7か月間で10戦5勝の好成績を残しオープン入りを果たした。結局オープン入りした後は勝利を挙げられなかったが、3年近いブランク後に8000万円近い賞金を稼いだ馬主孝行な馬でもあった。

 ただタマビッグホープを含めてブラックブロッサム以前の24頭は、復帰後に重賞タイトルを手にした馬は皆無。そういう意味でもブラックブロッサムには重賞勝利の期待をかけたいところ。イクイノックスやドウデュースと同世代の遅れてきた大器の今後には要注目だ。

GJ 編集部

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