安藤勝己×岡田牧雄両氏が「辛口」ジャッジ!? 今週末デビューするキタサンブラック産駒「3.4億円ホース」は遅咲きの典型?
現役時代にG1を7勝し、種牡馬としてもイクイノックスとソールオリエンスという2頭のG1馬を輩出したキタサンブラック。他にもウィルソンテソーロやガイアフォースなど産駒の活躍は枚挙にいとまがない。
初年度に500万円だった種付け料は、産駒デビュー前に一時300万円に下落したが、今年度は2000万円に急騰。直仔のイクイノックスと並び国内では最高額となっている。
そんなキタサンブラックの新たな怪物候補と噂される2歳馬が今週末にデビューを迎える。
日曜小倉の5R・2歳新馬(芝1800m)に出走を予定しているダノンシーマ(牡2歳、栗東・中内田充正厩舎)だ。
2023年セレクトセールの1歳部門にて、3億4100万円(税込)の高額でダノックスの野田順弘オーナーが同馬を落札。大きな期待を背負って、関西の名門・中内田厩舎に入厩した。
4月に早くもゲート試験に合格。その後はいったん放牧に出されていたが、6月上旬に帰厩すると、坂路を中心に負荷をかけられてきた。
鞍上には中内田厩舎にとって最強パートナーでもある川田将雅騎手を確保。他に将来有望なライバル数頭も出走を予定しているが、おそらくダノンシーマがやや抜けた1番人気に支持されるだろう。
ただ陣営は『スポーツニッポン』の取材に対し、「この時期の2歳らしく、まだ頼りないところはある」(福永助手)と、トーンはやや控えめ。乗り込み量、追い切り時計ともに期待を抱かせる内容とはいえ、未知な部分がある点は否めない。
安藤勝己×岡田牧雄両氏が「辛口」ジャッジ!?
さらに不安を駆り立てるのが、2人のホースマンがダノンシーマの“馬体”に懐疑的な見方を示していたことである。
今年春に発売された『天才!のPOG』(メディアボーイ)、通称“青本”に詳細が記載されているので、気になる方はぜひ書店で手に取っていただきたい。
POG(ペーパーオーナーゲーム)ファンにお馴染み、青本の名物コーナーの一つが、元JRA騎手の安藤勝己氏と、岡田スタッド代表の岡田牧雄氏の2人による馬体診断である。2人は血統情報がない状態で、社台グループの2歳馬131頭の馬体を見て、馬の良しあしをジャッジ。131頭のうちの1頭がダノンシーマだった。
安藤氏と岡田氏は、ダノンシーマの馬体を見て、バランス自体は良好という共通の見解を示した。ただその一方で、安藤氏は「もう少し力強さが欲しい」、岡田氏も「現時点では細身でちょっと頼りなさげ」と、ともに馬体のボリューム感などには物足りなさを感じた様子。安藤氏は「キタサンブラックは基本的に晩成やけど、これもその典型やろな」と、POG向きではないという意見も披露している。
「この原稿が書かれたのが3月末なので、その後の3か月間で急成長を遂げた可能性もあるとは思いますが、この時期にいきなりエンジン全開で走れるかどうかといわれると疑問符が付きます。
間違いなく将来は重賞戦線で走ってくる素材だとは思いますが、プロの2人が厳しいジャッジをしているだけに過剰人気になるようなら嫌ってみるのもありかもしれません」(競馬記者)
キタサンブラックの代表産駒、イクイノックスも本格化したのは古馬になってからだったが、2歳時も素質だけで他馬を置き去りにする強さを見せていた。ダノンシーマもあっさりと初陣を飾るようなら、世代の主役候補に名乗りを上げてもおかしくない。