池添謙一「モチベーションが上がりません」から約4年…「幻の騎乗馬」を父に持つ名牝の仔と初陣

札幌競馬場

 ホウオウビスケッツが函館記念(G3)を優勝して幕を下ろした今年の函館開催。北の大地では今週末から舞台を札幌に移して熱戦が繰り広げられる。

 21日、芝1800mの新馬戦にはホウオウビスケッツと同じ奥村武厩舎から楽しみな2歳馬がデビューを予定している。それがショウナンサムデイ(牝2歳、美浦・奥村武厩舎)だ。

母はG1・2勝の名牝ショウナンパンドラ

 新種牡馬サートゥルナーリア産駒のショウナンサムデイは、母が現役時代にG1・2勝を挙げた名牝ショウナンパンドラ。一族にはG1馬のステイゴールドやサッカーボーイなども名を連ねる良血である。

 奥村武師も「ゆくゆくは必ず走ってくると思う」と将来性に太鼓判を押したように、デビュー戦で1800mを選択したのもクラシックを意識してのことだろう。1週前追い切りでは同じ2歳のアスクシュタインと併せ馬を行い互角の動きを披露。併せたアスクシュタインは14日の新馬戦で1馬身半差の完勝を収めたのだから、ショウナンサムデイへの期待も自ずと高まる。

ショウナンサムデイとコンビを組む池添謙一騎手 撮影:Ruriko.I

 また、ショウナンサムデイの鞍上は、母の主戦も務めた池添謙一騎手になる予定だ。

 池添騎手はショウナンパンドラと初コンビを組んだ2015年の宝塚記念(G1)で、11番人気の低評価を覆して3着に好走。以降、同馬が引退するまで手綱を取り続け、同年秋のジャパンC(G1)では優勝に導いた名パートナーでもあった。池添騎手自身もオルフェーヴルの有馬記念(G1)以来、およそ2年ぶりのG1制覇となり、勝利インタビューでは「勝つ味を忘れかけていました。最高です」と喜んでいただけに、忘れられない思い出の1頭だろう。

 ちなみに、ショウナンパンドラは繁殖入りしてからこれまで4頭の産駒を送り出してきたが、実は池添騎手が実戦で騎乗した経験は一度もない。ショウナンサムデイの出走が決まれば、ショウナンパンドラの仔に初めて跨ることとなる。

池添謙一騎手はサートゥルナーリアにも騎乗予定だった

「池添騎手といえばショウナンサムデイの父サートゥルナーリアにも、本来であれば2020年のジャパンCで騎乗する予定でした。ただ、同馬が脚部不安を発症してしまい直前で回避となり、コンビ結成は幻に。当時の池添騎手はとても残念そうにしていましたよ」(競馬記者)

 サートゥルナーリアはもともとC.ルメール騎手が主戦を務めていたが、この年のジャパンCではアーモンドアイに騎乗。そのため新パートナーとして白羽の矢が立ったのが池添騎手だった。調教で初コンタクトを取った同騎手は「背中がすごく柔らかくていい走り。雰囲気ありますね」と手応えを口にしていた。

 しかし、先述の通り脚元の不安で出走見送りとなり、池添騎手は自身のツイッター(現X)で「1週前ほんとに良くて、楽しみで仕方なかったのに」「昨日の今日で全くモチベーションがあがりませんが…」とつぶやくなど回避を惜しんでいた。

 それからおよそ4年。サートゥルナーリアとショウナンパンドラとの間に生まれたショウナンサムデイは池添騎手にとって特別な意味を持つ1頭かもしれない。初陣でどのようなレースを見せてくれるか楽しみだ。

GJ 編集部

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