ロマンチックウォリアーは順当も「ダービー2着馬」で最優秀4歳馬、「未勝利馬」でも最優秀ステイヤー!? 香港競馬の意外な年度表彰
日本競馬と交流の深い香港競馬は夏にシーズンが終了する。今年も先週14日に2023-24シーズンが幕を下ろし、各年度表彰「香港チャンピオンズアワーズ」の授賞セレモニーが行われた。
年度代表馬に選出されたのはロマンチックウォリアー(セン6歳)だ。
G1・5連勝という圧巻の内容で駆け抜けた香港最強馬は、今や世界最強との呼び声も高い。3季連続となる最優秀中距離馬にも選出されており、絶対王者として3季連続で年度代表馬に輝いていたゴールデンシックスティを退ける格好となった。
特筆すべきは、やはり安田記念(G1)の勝利か。ナミュールやソウルラッシュら日本の一流マイラーをまったく寄せ付けなかった走りは、日本の競馬ファンの記憶にも新しいはずだ。
また、昨年10月には豪州最高峰のレース・コックスプレート(G1)を香港調教馬として初めて勝利。2019年にはリスグラシューが日本調教馬初制覇を成し遂げ、その年の年度代表馬にも選出された。ロマンチックウォリアーもゴールデンシックスティも現役続行の意思を見せており、12月の香港国際競走では日本馬の高い壁になるだろう。
興味深いのは、最優秀4歳馬にギャラクシーパッチ(セン4歳)が選出されたことだ。
ダービー馬2着、G1未勝利でも最優秀4歳馬
今シーズンを重賞2勝で終えたギャラクシーパッチだが、実は勝ったのは共にG3。香港ダービー(L)ではマッシヴソヴリンに敗れて2着だった。日本でも日本ダービー(G1)などのクラシックで勝てなかったイクイノックスやブラストワンピースらが逆転で最優秀3歳牡馬に選出された例があるが、いずれも古馬相手にG1を勝利している。
ちなみに香港ダービーでギャラクシーパッチを破ったマッシヴソヴリンだが、その後はクイーンエリザベス2世C(G1)8着、チャンピオンズ&チャターC(G1)6着と古馬の壁に跳ね返されている。
また最優秀ステイヤーに選出されたファイブジーパッチ(セン6歳)に至っては、今シーズン未勝利だった。
それどころか唯一のG1連対がチャンピオンズ&チャターCの2着だけだったが、勝ったのは英国のレベルスロマンス。今春のドバイシーマクラシック(G1)で日本のシャフリヤールやリバティアイランドを問題にしなかった世界トップホースだ。チャンピオンズ&チャターCのファイブジーパッチも2馬身差の完敗だったが、この着差はドバイのシャフリヤールと同じ。その辺りが評価された結果なのだろう。
日本競馬と交流の深い香港競馬だが、こと年度表彰については日本ではあまり考えられないケースもあるようだ。JRAの表彰では勝ち馬が重視されているが、カレンブーケドールや古くはステイゴールドといった年度を通じて活躍したシルバーコレクターが選出されるケースがあってもいいかもしれない。