武豊「収穫がありました」もファンの間で賛否両論!? ドウデュース思わせたクイーンSの惜敗…ボンドガールが得たもの失ったもの
函館から札幌へ舞台を移した夏の北海道開催。開幕2週目には牝馬の中距離重賞・クイーンS(G3)が行われ、5番人気の伏兵コガネノソラが優勝。12着に大敗したオークス(G1)からの巻き返しに成功した。
「51キロだったので、多少外を回っても大丈夫と思っていましたし、落ち着いて乗っていこうと考えていました」「また乗れると良いですね。今後とにかく無事にいってくれればと思います」
初重賞勝ちのかかった2頭で明暗
これが嬉しい重賞初制覇となったコガネノソラだが、見事な手綱捌きでパートナーを勝利へ導いた丹内祐次騎手も、フルデプスリーダーで優勝した一昨年のエルムS(G3)以来となる約2年ぶりの重賞勝ち。レースでは初騎乗だったものの、中間の追い切りで好感触を掴んでいたことも、強気な攻めの騎乗を後押ししたかもしれない。
その一方、武豊騎手とのコンビで2番人気に支持されていたボンドガールは、ゴール前で猛追したものの、あと一歩届かず2着に惜敗。レース後のコメントでレジェンドも「あと2歩でしたね」と振り返ったように、どちらが勝っても不思議ではない結果だったともいえそうだ。
とはいえ、それまで好位から抜け出す競馬で好走していたボンドガールが、初めて後方からの競馬を試みたことについては、ファンの間でも賛否が分かれたようである。
外を回す距離のロスを覚悟した上でワンテンポ早めに追い上げたコガネノソラ、道中で3番手から3着に食い込んだアルジーヌなど、掲示板に載った馬たちはすべてボンドガールより前でレースを運んだ馬。平均ペースで流れた14頭立ての芝1800m戦で、最後の直線を11番手から伸びたボンドガールのポジションは、やや後ろ過ぎたようにも映ったからだろう。
ネットの掲示板やSNSなどでは、一部のファンから「皐月賞(G1)のドウデュースみたい」「どうしてあんな後ろから行ったの?」「これは豊さんのミスかも」といった声もあれば、「先を見据えた競馬」「これはこれでよかった」「むしろ難しい展開からうまく乗った」と肯定する声も出ていた。
「ボンドガールが一番強い競馬をしたように見えるのは間違いないでしょう。内枠が好走しやすいクイーンSで1枠1番の絶好枠を引いていた訳ですし、先行策をイメージしたファンも多かったはずです。着差が着差だけに、いつも通りの競馬なら勝てたのではないかという意見も分かります。勝てるチャンスは失いましたが、次走に期待です。
ではなぜ今回、あえて後ろからの競馬を選択したのかとなると、それは武豊騎手のコメント通り、ボンドガールの折り合い面に進境が見られたからでしょう。新馬戦以来となる上がり3ハロン最速の末脚を引き出すことに成功しましたし、この内容なら距離があと1ハロンくらい延びても対応できそうな雰囲気もありましたよ」(競馬記者)
確かに結果のみで判断してしまうと、「思っていたよりも掛からなかったので、溜めてじっくりと運びました」と話した武豊騎手の判断が、勝ち切れなかった理由のひとつのように感じられるものの、ボンドガールのこれからを考えた場合、「収穫がありました」という言葉に意味はあったのではないか。
勝利を信じたファンからすれば、内枠有利の条件でまさかの後方待機策に恨み節が出てもやむを得なかっただろうが、まずは致命的な不利を受けた前走のNHKマイルC(G1)のトラウマを払拭する好走を喜びたいところ。そして秋華賞(G1)が選択肢に入って来るかどうかも注目だ。