武豊「デビュー38年目」で初体験! 34年前の参戦は直前で幻に…「6億円ホース」と久々のコンビ復活
3日、土曜札幌のメインレースは、芝2600mで行われる札幌日経オープン(L)。昨年の同レースで6馬身差の圧勝劇を演じたブローザホーンは、今年の宝塚記念(G1)を制するまでに出世した。
武豊、騎手生活38年目で「初体験」!?
長丁場の一戦に今年は12頭がエントリー。中でも負担重量60キロで目を引くのがアドマイヤビルゴ(牡7歳、栗東・友道康夫厩舎)である。
同馬は2017年のセレクトセールにおいて約6億円で取引された超高額馬。購入した故・近藤利一さんがデビュー戦の鞍上に、絶縁状態となっていた武豊騎手を指名したことでも話題となった。デビューから5戦4勝と期待に違わぬ好成績を残したが、4歳以降は14戦してわずか1勝のみと精彩を欠いている状況。今回は2月の小倉大賞典(G3)10着以来、約5ヶ月半ぶりに復帰する。
近5走でも二桁着順4回と苦戦続きの上に年齢も7歳と若くないアドマイヤビルゴだが、今回は久々の好走に期待できるかもしれない。というのも全5勝を挙げている武豊騎手と昨年9月のケフェウスS(OP)以来となるコンビが復活するからだ。
武豊騎手といえば、先週行われたクイーンS(G3)でボンドガールの手綱を取って2着。6年ぶりに軽量51キロに騎乗したことでも話題を集めた。惜しくもアンダーエージウェイト(自分の年齢以下の負担重量で重賞を勝つこと)とはならなかったが、先行脚質の同馬を後方で折り合わせ、直線で末脚を引き出した手腕はさすがだった。
メンバー最軽量の51キロだったボンドガールに騎乗したレジェンドだが、それからわずか1週間後に今度は一転してメンバー最重量の60キロを背負うこととなる。これはもちろん武豊騎手自身が増量するのではなく、重りなどで調節することになるのだが、ジョッキーという職業の大変さが窺えるケースの1つといえるかもしれない。
ちなみに、今年で騎手生活38年目を迎えている武豊騎手だが、過去に59.5キロで騎乗したことは4回あるものの、60キロ以上で騎乗するのは今回が初めて。出走が確定すれば、JRAで通算2万4000回以上の騎乗を誇る百戦錬磨のレジェンドにとっても、38年目にして初体験となりそうだ。
「多くのG1馬とコンビを組んできた武豊騎手だけに、60キロ以上で騎乗したことがなかったのは少々意外ですが、実は幻に終わったことが過去に1回だけあったんですよ。
それがバンブーメモリーとのコンビで出走予定だった1990年の金杯(G3)です。すでに安田記念(G1)を勝っていたこともあり、同馬に課せられたハンデは61キロ。ただ、口の疾患で出走取り消しとなったことで、武豊騎手の60キロ以上での騎乗も幻となりました」(競馬記者)
久々の好走が期待されるアドマイヤビルゴだが、馬体重は440キロ前後と馬格がある方ではない。パートナーはすでに昨年の谷川岳S(L)で60キロを経験しているが、このときは見せ場なくシンガリ14着に敗れている。
ただ、当時の鞍上はデビュー2年目の今村聖奈騎手で、馬場コンディションもパワーを求められる重馬場だったため、度外視も可能だ。全5勝を挙げているベストパートナーの武豊騎手なら、何とかしてくれるかもしれない。