JRA短期免許「条件緩和」でJ.モレイラに追い風!? 外国人騎手のチャンス増大も…中堅や若手は死活問題か
先日、JRAが短期免許制度における成績要件の変更を発表した。
平地の短期免許を取得するのに必要な「良好な成績を示した騎手」の基準に、当該年または過去2年でワールドオールスタージョッキーズ(以下WASJ)騎手表彰順位5位以内を追加。さらに、指定G1勝利度数の対象を過去2年のIFHA(国際競馬統括機関連盟)が発表する「世界のトップ100G1」のうち50位以内の競走(ランキング入りした年度に限る)に拡大する。
障害の短期免許についても、本拠地で過去2シーズンのうちいずれかでリーディング1位としていた要件を3位以内に変更。また、これまでは短期免許の交付を「平地・障害を合わせて5人以内」としていたが「平地5人以内、障害2人以内」に拡大となる。
JRAはこれまで短期免許の取得要件を、
①国ごとに定められたリーディング上位(過去2シーズン)
②当該年または過去2年で指定外国競走(60競走)を2勝以上
③当該年または過去2年でJRA・G1を2勝以上
と、大きく分けて3つに定めていた。厳しい条件をクリアして来日するからこそ、日本で活躍する外国人騎手が目立つのも当然といえる。ただ今回の変更で条件がかなり緩和されるため、これまで以上に来日のハードルが下がることになりそうだ。
J.モレイラ騎手に追い風!?
条件緩和で恩恵を受けるジョッキーの1人として、多くのファンが名前を思い浮かべそうなのが、ブラジルに拠点を置くJ.モレイラ騎手である。
最強助っ人外国人騎手の1人として知られるモレイラ騎手は、今春も短期免許で来日。約2ヶ月の間にステレンボッシュで桜花賞(G1)を含む重賞4勝を挙げるなど、C.ルメール騎手や川田将雅騎手らを凌ぐ存在感を発揮したことは記憶に新しい。
その一方、来年以降も来日するにはG1・2勝以上を挙げることが急務だったものの、桜花賞に続く2勝目を手にすることができなかったため、来年以降の来日は絶望的と思われていた。
しかし、今回の変更により、仮に今夏のWASJに招待され5位以内に入れば来年も短期免許を取得できる可能性が浮上。もし条件を満たせなかったとしても、来年の同イベントで5位以内となれば秋にはスポット参戦できる見込みだ。ちなみにモレイラ騎手は2015年のWASJで優勝した実績を持っている。
「この条件緩和はモレイラ騎手や他の外国人騎手を重宝する調教師や馬主にとっても歓迎でしょう。
また、年初から短期免許で参戦し重賞2勝を挙げるなど活躍したR.キング騎手や、女性騎手のM.ヴェロン騎手なども昨年のWASJで5位以内に入っているため、来年度の短期免許が取得可能となりました」(競馬記者)
海外の一流ジョッキーが来日しやすくなることは、我々ファンにとっても歓迎材料だろう。とはいえ、彼らの参戦で割を食うのが、中堅や若手のジョッキーたちである。
中堅や若手は結果を出しても、次走で外国人騎手やトップジョッキーに乗り替わってしまうケースは少なくない。
おそらくこれまで以上に継続騎乗のチャンスを失う機会も増えそうなだけに、騎乗馬の確保に苦戦しているボーダーの騎手たちにとっては、死活問題となるかもしれない。