「エアグルーヴの2×3」濃厚インブリードを持つ良血が新馬V! 世界的名馬に続く活躍へ
31日、中京5Rに行われた2歳新馬戦は、8頭立て6番人気の伏兵カレンラップスター(牡2歳、栗東・小林真也厩舎)と松山弘平騎手のコンビが勝利した。
芝2000mのレース。カレンラップスターは道中4、5番手のインコースを追走。1000m通過が1分7秒4という超がつくほどのスローペースだったものの、鞍上とは息の合った走り。最後の直線も内ラチ沿いから抜け出すと、最後は2着に2馬身差をつける完勝だった。
「降りしきる雨の影響で重馬場でとなり、内外の選択も難しかったと思いますが、終始インコースにこだわって抜け出してきたあたりは松山騎手の好判断でしたね。
また、その松山騎手が『逃げ馬の後ろでしっかり脚をためることができた』と振り返っていた通り、カレンラップスターはこれが初出走とは思えないほどレースセンスの高さが目立ちました。昇級しても堅実な走りを見せてくれそうです」(競馬記者)
「エアグルーヴの2×3」濃厚なインブリードを所有
ルーラーシップ産駒のカレンラップスターは、G1・2勝スワーヴリチャードの近親という良血。さらに、オークス(G1)と天皇賞・秋(G1)を勝った名牝エアグルーヴの2×3という濃厚なインブリードも所有している。
インブリードといえば、血統表で5代前までに同一の祖先を持っているような配合であり、その目的についてJRAの公式サイトには「共通祖先の望ましい形質を固定させること」とある。先祖の優秀な競走能力や特徴を色濃く遺伝させ、子孫にも高い能力を継承させる狙いで行われる配合だ。
ただ、近親交配により気性難や体質が弱くなるなどの悪影響が引き起こされる可能性もある。特に近い祖先のインブリードほど悪影響が強いという。
そんなリスクも潜んでいるインブリード配合だが、カレンラップスターはほとんどデメリットを感じさせないような走りでデビュー勝ちを収めた。ちなみに、本馬の全兄となるサダムオプシスも3日、キャリア2戦目で初白星を飾っている。
「カレンラップスターとほぼ同じ3×2という濃厚なクロスを有しながらも活躍した馬といえば、近年では凱旋門賞(仏G1)連覇をはじめG1・11勝を挙げた名牝エネイブルがいますね。
また、日本馬でもG1・3勝を挙げ、凱旋門賞でも僅差の2着に好走したエルコンドルパサーが近親配合だったことで知られます。濃厚なインブリードは危険性があるとされながらも、成功した際は大爆発する可能性も秘めています」(同)
レース後、カレンラップスターに騎乗した松山騎手は「強い競馬をしてくれました」と、走りを評価するコメントを残している。実力と血統面で今後も注目してみたい1頭だ。