C.ルメール「菊花賞でもチャンスがある」前日のミスからガラリ一変…鞍上問題発生もドゥレッツァの再現濃厚か

C.ルメール騎手 撮影:Ruriko.I

 3日間開催の先週末は、日曜中京でローズS(G2)と月曜中山にセントライト記念(G2)が開催。ラスト一冠のチケットをかけた熱い戦いが行われ、ともに2番人気に支持されたクイーンズウォーク、アーバンシックが勝利。前者は秋華賞(G1)、後者は菊花賞(G1)の有力候補として名乗りを上げた。

 そしてローズSには、ホープフルS(G1)を制したレガレイラ(牝3、美浦・木村哲也厩舎)、セントライト記念にはアーバンシック(牡3、美浦・武井亮厩舎)の“そっくりさん”といえる2頭が出走していた。

 いずれも父がスワーヴリチャード、母父ハービンジャーで、母母もランズエッジという血統。レガレイラの母ロカとアーバンシックの母エッジースタイルは全姉妹であり、血統構成的には母の名前以外が同じ。異なる点は性別くらいというほど酷似しているのだ。

 血の濃さを証明するかの如く、どちらも不器用なところがあって、後方からの鋭い末脚が武器。そのため、スローで前残りの展開になると、馬群を捌くのに手こずったり、末脚が不発となるケースもあり、高い能力を持つ一方で乗り難しさのある2頭である。

 その不安が的中したのがローズSのレガレイラだ。15頭立ての芝2000mで争われたレースは、後続を離したセキトバイーストが1000m通過60秒3のマイペースに落とし込み、2番手以降は実質スローの流れ。先行勢を射程圏に入れつつ中団前目で追走した勝ち馬のクイーンズウォークに対し、出脚のつかなかったレガレイラは最後方から追い掛ける不利な展開に苦しんだ。

 最後の直線で上がり3ハロン最速の33秒1を駆使しながらも、スローを味方につけた先行勢を捕まえられず、5着まで追い上げるのが精一杯。手綱を取ったルメール騎手も「外枠でポジションが取れなかった」「ペースも速くなかった」と弁明。これにはネットの掲示板やSNSなどでも一部のファンから「やる気がない」「あんなに後ろじゃ無理」と不満の声が出たのも仕方なかったか。

前日のミスからガラリ一変

「次走はエリザベス女王杯(G1)と目されていますが、賞金的に権利取りが絶対条件でもなかったですからね。その気になれば道中で動けたかもしれませんが、休み明けで10キロ増と余裕残しの仕上げ。ルメール騎手も無理はしなかった印象です。それでも最後の脚はさすがといえる切れ味でしたし、トライアルに徹したという意味では収穫もありましたね。

これに対し、月曜のアーバンシックはルメール騎手も“やる気”を出しました。スタートはいつも通りでしたが、積極的に位置を取りに行く競馬。内から徐々に進出していき、最後の直線も綺麗に前が空きました。前走まで手綱を取っていた横山武史騎手は、ローズSのレガレイラのような競馬をしていましたが、結果的にこの乗り替わりは大正解。ルメール騎手の経験と技術が呼び寄せた勝利といえるでしょう」(競馬記者)

 ほぼ血統が同じ馬で、前日の敗戦からガラリ一変したルメール騎手。勝利という最高の形で菊の切符を手に入れたアーバンシック陣営としても、ルメール騎手の継続騎乗を期待したいところだが、鞍上問題に発展してしまうのも難しい。

 というのも、ルメール騎手には8月17日の日本海S(3勝クラス)を楽勝したヘデントール(牡3、美浦・木村哲也厩舎)というお手馬がいるからだ。

 本馬は春のクラシックには出走が叶わなかったものの、2走前の町田特別(2勝クラス)から連勝を決め、菊花賞の有力候補の1頭として注目を集めている存在。しかも昨年の日本海Sを勝利したドゥレッツァが本番の菊花賞を圧勝した。今年の勝ち馬ヘデントールにも昨年の再現が期待されている。

 ヘデントールを管理する木村厩舎の主戦はルメール騎手であり、厩舎の勝ち星の大多数がルメール騎手とのコンビで挙げたもの。アーバンシックが強い競馬をしたとしても、そう簡単にコンビ解消とはならないはずである。

 その場合は降板した横山武騎手が再登板する可能性も十分。もし再びチャンスが訪れるようなら、ルメール騎手の「お手本騎乗」は大いに参考となるのではないか。

GJ 編集部

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