「助手席に誰も乗っていない」「同乗者は制止不可能だった」謎多きJRAの説明…憶測飛び交う角田大河の函館コース侵入
JRAは23日の関東定例記者会見において、8月10日に死去が発表された元騎手の角田大河さんが、8月1日夜に函館競馬場の芝コースに車で侵入した件について改めて状況を説明。今年に入って頻発している騎手の不祥事に対し、「短期間に複数起きていることは非常に責任を感じている。この場をお借りして皆さまにおわび申し上げたい」と陳謝した。
JRAの説明は不十分と言わざるを得ず……
デビュー3年目の若手騎手が、関係者ならまずありえない「重大な非行」を犯した経緯には不鮮明な部分が多々ある。事件当時、「飲酒はなかった」「花火大会を見たかった」と発表されたものの、ネットやSNSでも「酔ってでもいなければやらない」「花火を見るには遠すぎる」といった疑問の声も出ていた。
そして今回、JRAから説明された内容も核心には触れておらず、遅きに失した対応に不信感を募らせるファンは少なくなかったのではないか。事件直後から行方不明となり、突然の死去。2ヶ月近く経った頃に改めて説明がされた訳だが、この程度の情報であればもう少し早いタイミングで発表が可能だったはずである。
また、同乗者が1人いたことについては厩舎関係者と明かし、「自主的に乗った訳ではない」「気がついたら馬場に入っていて制止できる状況にはなかった」「ラチを外したのは角田大河さん」「後部座席に乗っていた」といった説明。そのため、同乗者の過失の程度は小さく、制裁ではなく厳重注意を行ったとのこと。
とはいえ、この断片的な情報には不思議な点がいくつかある。
まず、シラフではとてもやらないような常軌を逸した行為だけに、飲酒疑惑が拭えない上、週刊誌が本件を取り扱った記事内で掲載した写真には「助手席に人影が……」と書かれていた点だ。もしこれが事実なら、他にも同乗者がいたことになる。
JRAは「ガードマンの証言からそれはないです。助手席には誰も乗っていません」と否定したが、こちらについても釈然としない。タクシーの乗客でもなく、これだけの行為に同伴した人物との関係性を考えると、助手席に乗っていても不思議ではないからだ。
そして、「気がついたら馬場に入っていて制止できる状況にはなかった」という話も説得力を欠いている。同乗していたなら「ラチを外しているとき」や「入る前に気がついて」当然だろう。もしかしたら寝ていたのだろうか。
ただ、同乗者が「自主的に乗った訳ではない」ことについては、やむを得なかったという見方も可能だ。説明では厩舎関係者というワードが選ばれているが、角田大河さんがデビュー3年目の21歳ということを考えると、上下関係が発生しやすい後輩の誰かである可能性が高そうだ。
本来ならJRAが明確な説明をするべきだが、当時も具体的な情報は公開されず。あえて触れないスタンスで風化を待つのかと思いきや、なぜ中途半端な説明をこのタイミングで行ったのかは分からない。
無関係の人物にまで疑惑や憶測が飛び交ったこの事件。「死人に口なし」ではないが、角田大河さんから真相を知る手段もない。謎は深まるばかりだ。