【菊花賞展望】武豊は「騎乗馬なし」の可能性も?横山典弘ダノンデサイル、C.ルメールの秘密兵器が二強形成か

武豊騎手 撮影:Ruriko.I

 メイショウタバルが制した先週末の神戸新聞杯(G2)も終了し、今年の菊花賞(G1)に出走する顔触れも徐々に見えてきた。

 非常に残念だったのは、武豊騎手とのコンビで出走を予定していたサブマリーナが、右後肢フレグモーネのために出走取消となったことだ。

武豊騎手は菊花賞見学の可能性も?

 同騎手には青葉賞(G2)を勝ち、日本ダービー(G1)で7着に入ったシュガークンというお手馬もいたが、陣営は暑い時期に無理をさせたくないと菊花賞の回避を発表。そのため、サブマリーナで3着以内に入って優先出走権を取りたかったものの、想定外のアクシデントが発生したことにより、滑り込み出走は叶わなかった。このまま騎乗馬が見つからない場合、菊花賞を見学で終わる可能性もゼロではないだろう。

 そして、夏の上がり馬の活躍も期待されたセントライト記念(G2)と神戸新聞杯が終わり、2勝クラスや1勝クラスを勝った馬が既存の勢力に返り討ち。これといった新星の登場も見られなかった。こちらについては牝馬も同様だった。

 ただ、春のクラシックで圧倒的な存在感を放ったジャスティンミラノ、ジャンタルマンタルの出走がないことについては「乱菊」の可能性を残している。

 セントライト記念をアーバンシックが制し、2着コスモキュランダ、3着エコロヴァルツ。神戸新聞杯をメイショウタバルが制し、2着ジューンテイク、3着ショウナンラプンタと前走ダービー組が上位を独占しただけに、菊花賞に直行するダノンデサイルを逆転できるかどうか。

 両トライアルで苦戦した上がり馬だが、別路線では楽しみな馬も登場した。

 それが8月新潟の阿賀野川特別(2勝クラス、芝2200m)を制したピースワンデュックと日本海S(2勝クラス・芝2200m)を楽勝したヘデントールの2頭である。前者は出遅れる展開を跳ね返して差し切り勝ち。後者は余裕十分に33秒6の末脚を披露し、2着馬に3馬身半差の圧勝を演じた。

 勝ち時計ではヘデントールの2分12秒4に対し、ピースワンデュックは0秒5速い2分11秒9だったが甲乙つけ難い。あえて揚げ足を取るならピースワンデュックのハナ差2着に入ったバッデレイトが、神戸新聞杯で7着と振るわなかったことか。昨年の菊花賞馬ドゥレッツァが勝利した縁起のよさとC.ルメール騎手の続投が濃厚という意味では、ヘデントールに打倒ダノンデサイルを期待するファンも多そうだ。

 少し話は変わるのだが、個人的に注目しているのは神戸新聞杯で6着に敗れたビザンチンドリーム。追い切りもパッとしなかったが、先行勢が上位に残る展開で後方から伸びたレース内容は目を引いた。

 まだ復調手前に映っただけに、本番で完調なら一角崩しの期待も持てそう。後ろから競馬をするタイプのため、展開に左右されやすいとはいえ、無欲の追い込みを決めれば、2002年に16番人気でヒシミラクルの2着に激走したファストタテヤマの再現があるかもしれない。

 現役最年長58歳の柴田善臣騎手、56歳の横山典騎手、55歳の武豊騎手がG1で一堂に会する機会はそう多くない。レジェンドのパートナー探しも含め、色んな意味で面白そうな今年の菊花賞である。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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