「怒りの矛先は騎手でもいいよ」ダノンデサイル調教師の“横山典弘愛”が凄い!「競馬だから仕方ない」「最悪の流れ」呼び込んだ浜中俊の選択
今年の3歳クラシックの掉尾を飾った第85回菊花賞(G1)は、この秋絶好調のC.ルメール騎手が騎乗した2番人気アーバンシックが優勝。2着に戸崎圭太騎手の4番人気ヘデントール、3着に武豊騎手の7番人気アドマイヤテラが入った。
しかし、リーディング上位常連の名手たちが好騎乗を見せた一方、1番人気に支持された横山典弘騎手とダノンデサイル(牡3、栗東・安田翔伍厩舎)のコンビは6着に敗戦。勝てば1974年タケホープ以来となる51年ぶりのダービー&菊花賞の二冠馬誕生を期待されたものの、不完全燃焼といえる内容に悔いが残った。
逃げないメイショウタバルが大乱戦の引き金に
レース後のコメントで横山典騎手が「競馬だから仕方ない」「最悪の流れ」と振り返ったように、スローペースで複数の馬が出入りする異例の展開。本来なら2枠4番の絶好枠を引いたダービー馬にとってインの経済コースを走れる条件だったはずが、道中で7頭が先頭に入れ替わる乱戦に身動きが取れないままポジションが悪くなった。
3~4コーナーにかけて前々に進出した上位3頭とは対照的に2コーナーで9番手を追走していたダノンデサイルは、14番手→15番手と後退。上がり最速35秒4の末脚を伸ばした最後の直線で6位まで着順を上げたものの、本来の力を発揮することなく終戦してしまった。
とはいえ競馬が勝負事である以上、敗戦の責任を問われるのは当然。ネットやSNSでは一部のファンから504キロで出走した日本ダービー(G1)から18キロ増えた522キロでの出走や、横山典騎手の騎乗に対する不満を口にする声が出たのも仕方がない。
そんな中、ダノンデサイルを管理する安田翔伍調教師が自身のSNSで発した言葉もファンの注目を集めた。
その内容は「ダノンデサイルを応援していただいた皆様の期待に応える結果にならず申し訳ございませんでした」「また様々なお怒りのお言葉も拝見し、その言葉を受け入れております」「その矛先は調教師である僕にお願いします。(騎手でもいいよ😉)」というものである。
行き過ぎた非難に対しては受け入れることはできないと話した安田師だが、さり気なく(騎手でもいいよ😉)と付け足していたのは、横山典騎手へのただならぬ信頼と愛が伝わった。今回は不本意な結果に終わってしまったが、ダノンデサイル陣営にはこの敗戦を機に次走での巻き返しを期待したい。
もちろん、競馬は何が起きても不思議がないことを承知した上で、疑問に映ったのは浜中俊騎手とメイショウタバルのコンビが逃げない選択をしたことだ。重馬場の毎日杯(G3)を好時計で勝ち、皐月賞(G1)も暴走気味に快足を飛ばしたメイショウタバル。本馬は前走の神戸新聞杯(G2)も道中のラップで緩急のない清々しい逃げ切り勝ちを決めた素質馬である。
スイッチが入ると止まらない危うさのあった馬だけに、仮にスタートで控えたとしてもスローなら自らレースの主導権を握る競馬をするのではないかと考えたファンは少なくなかっただろう。
しかも、浜中騎手が行くか行くまいか考えている間に、他馬が次々にハナに立ったこともあり、結果的に本人も「出入りが激しくなり、馬が嫌になってしまったようでした」と振り返る厳しい展開となった。
「逃げ馬というのは、やはり逃げてこそベストパフォーマンスを演じるタイプです。もし競り合ったら共倒れになるほど超ハイペースなら2番手3番手に控える選択もありだったかもしれませんが、マイペースで逃げられそうな流れなら、神戸新聞杯と同じく行ってしまった方がよかったように映りました。
結局、鞍上が決断をしなかった関係でペースメーカー不在の道中は意外なほどスロー。馬のためにも気分良く走らせてあげた方がよかった気もします。勝ち負け以前にメイショウタバルの一生懸命に走る姿は応援したくなります。少なくとも最後の直線までは奮闘してくれると考えていたため、なぜ逃げなかったというファンの声が見られたのも分かります」(競馬記者)
ただ、浜中騎手が事前にヒントを出していたことも事実。どうやら『うまんちゅ(関西テレビ)』で「マジで逃げる気ないんですよ」と話していたらしい。
5番人気で16着という結果を考えれば、これが正しい選択だったのかどうかはわからないが、メイショウタバルの逃げる姿を見たかったファンなら、この発言を知っていれば後悔しないで済んだかもしれない?