C.ルメール「アンラッキー」な過怠金に謝罪…マイルCSでも「牝馬のC.デムーロ」の手綱冴えるか?
10日、京都競馬場で行われた第49回エリザベス女王杯(G1)は、短期免許で来日中のC.デムーロ騎手がコンビを組んだ3番人気スタニングローズ(牝5、栗東・高野友和厩舎)が優勝。キングカメハメハ産駒は、ペプチドナイルの優勝したフェブラリーS以来となるG1勝利だった。
2022年の秋華賞(G1)を制したスタニングローズだが、その後は凡走続き。約2年もの間、勝利から遠ざかっていたものの、最強の助っ人C.デムーロ騎手との出会いで久々の勝利の美酒に酔いしれた。
レース後のコメントで近走の不振について質問されたC.デムーロ騎手は「僕を待っていたんだと思いました」と満点回答。道中のレース運び、仕掛けのタイミング含め、何もかもが完璧過ぎるエスコートでもあった。
そんな人馬に対し、本来の実力を発揮することなく5着に敗れたのがC.ルメール騎手が騎乗した1番人気のレガレイラだ。牡馬相手にG1を勝った実績も評価され、単勝1.9倍の断然人気を集めたものの、思い描いたようなレースが出来なかった。
課題のスタートこそ悪くなかったが、外からシンリョクカ、内からピースオブライフとモリアーナに挟まれるような格好。それでも最後方からの競馬を強いられた前走のローズS(G2)に比べれば、「勝負になる」ポジションだったはずだ。
ただ、外目の好位を伸び伸びと走れたスタニングローズに対し、外を走るラヴェルに蓋をされる感じで、勝負どころでも内を狙う選択肢しか残されていなかった。
さらに「アンラッキー」だったことは、行き場をなくした最後の直線で狭いところに突っ込んで万事休す。こちらについては、ルメール騎手に過怠金5万円の処分が下され、秋競馬で絶好調だった名手も「ごめんなさい」「いい騎乗ができませんでした」と自身のミスを認めざるを得なかった。
とはいえ、やはり特筆すべきはC.デムーロ騎手の手綱捌きだろう。スタートして4番手につけると、4角手前でワンテンポ早い追い出し。34秒0の末脚で後続を突き放し、終わってみれば2着ラヴェルに2馬身差の完勝である。ファンの多い薔薇一族の勲章をまたひとつ加算することにも成功した。
「世界的な名手C.デムーロ騎手が鮮やかな勝利を飾りましたが、それと同時に牝馬のクリスチャンという印象も残りました。振り返ればJRA・G1の初勝利はアユサンの桜花賞(G1)でした。
これで5勝目のG1となった訳ですけど、5勝中4勝が牝馬に騎乗してのもの。かつて河内洋調教師が現役騎手時代に牝馬の河内と呼ばれていましたが、C.デムーロ騎手も牝馬との相性が良さそうですね」(競馬記者)
ちなみにC.デムーロ騎手は今週末のマイルCS(G1)でも牝馬のナミュールに騎乗を予定している。エリザベス女王杯で2着に入ったラヴェルはナミュールの半妹。妹から渡されたいい流れを姉も繋ぎたい。
■C.デムーロ騎手のJRA・G1勝利
2013年 桜花賞 アユサン(7番人気)
2017年 ホープフルS タイムフライヤー(1番人気)
2018年 阪神ジュベナイルF ダノンファンタジー(1番人気)
2022年 エリザベス女王杯 ジェラルディーナ(7番人気)
2024年 エリザベス女王杯 スタニングローズ(3番人気)