レモンポップ「70点の仕上がり」に過信見え隠れ?連覇かかるチャンピオンズCが安心できない理由

レモンポップ 撮影:Ruriko.I

 世界の強豪を迎え撃ったジャパンC(G1)は、武豊騎手とドウデュースのコンビが優勝を飾り、秋古馬三冠に王手をかけた。大本命に支持されることが必至の有馬記念(G1)で2004年ゼンノロブロイ以来の偉業に挑む。

 グランプリで有終の美を飾りたいドウデュースより、一足早くラストランを迎えるのが今週末のチャンピオンズC(G1)に出走を予定しているレモンポップ(牡6、美浦・田中博康厩舎)だ。

 昨年ブレイクしたダートの逸材は、フェブラリーS(G1)で初G1制覇を飾ると国内のG1を破竹の5連勝。海外遠征の2戦は惨敗を喫したものの、前走の南部杯(G1)を単勝1.1倍の断然人気に応えて勝利した。距離が1ハロン延長するとはいえ、中京のダート1800mはチャンピオンズCを制した舞台でもある。おそらく1番人気に支持されるだろう。

レモンポップ「70点の仕上がり」に過信見え隠れ?

 ただ、前走の南部杯は必ずしも圧勝した訳ではないことも確か。昨年は2着馬に大差勝ちした一方、相手が中央のフェブラリーS優勝馬ペプチドナイルということを考慮すべきだが、今年は3/4馬身差の“辛勝”だった。

 かといって額面通りに受け取れない理由は、陣営が戦前に「70点の仕上がり」とジャッジしていたことだ。レース後に主戦の坂井瑠星騎手も「70点なら勝てるんじゃないかと思っていた」と振り返っていたが、この言葉に過信や慢心が見え隠れするといえば、大袈裟だろうか。

「調教師のジャッジは70点の仕上がりという意味ではなく、しっかりと調教を積んでいたはずなのに併せ馬で新馬に遅れたことに対するものです。七分の仕上げで勝てると豪語していた訳ではないため、そこは受け取り方を間違えないようにする必要があるでしょう。

ですが、南部杯の走りに関しては、十分に付け入る隙があるようにも感じました。盛岡のコースは前残りしやすく、ダートが湿った年には芝のような高速決着になることもあり、昨年の大差勝ちもそれと無関係ではないはずです。これに対し、今年は良で行われたこともあって着差も際どかったですね」(競馬記者)

 それでもしっかりと勝ち切ったレモンポップが強いことに疑いはないのだが、展開としては少々恵まれた感も否めない。

 というのも南部杯のレモンポップは最内の1枠1番からロケットスタートを決め、ライバルのペプチドナイルは外の8枠14番。馬場読みの必要な芝と違ってダートの場合は、内外の差がそのまま走破距離の差として直結しやすく、少なからずレモンポップにとって有利に働いたといえるかもしれない。

 また、距離延長に関してはレモンポップより、東京のダート2100mを楽勝した実績を持つペプチドナイルにアドバンテージがある。小回りでスピードの生かせる地方の競馬場を得意とするレモンポップに対し、中京なら追走も楽になるはずだ。

 今回はフェブラリーSと同じ左回りのダートで1800m。南部杯で王者に真っ向勝負を挑んだ藤岡佑介騎手の心意気も応援したいチャンピオンズCである。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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