「8枠16番」でもドウデュース優勢は揺るがない!? 武豊と勝利の方程式も完成…昨年と何が違うのか

武豊騎手 撮影:Ruriko.I

 いよいよ今年の中央競馬もフィナーレが近づいた。今週末、暮れの中山競馬場で行われる有馬記念(G1)は、普段競馬をやらない層も関心を集める一大イベント。19日には都内で『2024有馬記念公開枠順抽選会』も行われる。各馬の枠順がレースの展開や結果に影響するため、ハラハラドキドキしながら行方を見守るファンも少なくないだろう。

 毎年のように話題に上がるのは、圧倒的不利とされる8枠に入る馬だ。実際、中山の芝2500mは内枠有利な傾向が顕著であり、8枠を引いた陣営の関係者が落胆する姿は、もはや風物詩のようになっている。

 やはり最大の注目は、1番人気に支持されることが濃厚なドウデュースがどの枠に入るかだ。もし8枠16番だった場合、過去の歴史を不安視する声が出るかもしれない。

武豊と勝利の方程式も完成…昨年と何が違うのか

 とはいえ、有馬記念は昨年優勝したレースである。天皇賞・秋(G1・2番人気7着)、ジャパンC(G1・3番人気4着)から復活した昨年とは異なり、今年はいずれも快勝した状況での参戦。しかもラストランの舞台で鞍上に武豊騎手なのだから、否が応にも有終の美を期待したくなる。

 その一方、武豊騎手から「(枠は)全然どこでもいい」という言葉も出た。昨年は3枠5番という願ってもない好枠から優勝しただけに、外枠は避けたいと考えているのかと思いきや、そうでもないらしい。これはなぜだろうか。

 こちらの疑問については、秋2戦の勝利が解決のヒントになりそう。

 というのも天皇賞・秋もジャパンCも2着3着は前々で粘り込んだ馬だったにもかかわらず、ドウデュースは最後方近くのポジションから差し切り勝ちを収めていたからだ。

 両レースともG1にしては超スローペース。それでも後ろからの競馬にこだわった武豊騎手の騎乗は末脚不発のリスクを伴うものだが、名手の加えたひと工夫はジャパンCで少し早めに動いた程度に過ぎない。ドウデュースにとっては、これが「勝利の方程式」であると武豊騎手の中で結論が出ていたからだろう。

 であれば枠がどこでもやることは同じ。ラストランのタイミングでいきなりスタイルを変える必要もなく、1枠だろうが8枠だろうが一旦後ろに下げてから外を回して上がっていく。確かにこれなら枠はどこでもいい。

 おそらく、この乗り方の土台となったのは昨年の有馬記念だろう。

 ジャパンCのレース後に公開されたジョッキーカメラの映像内でレジェンドは「アレしかないかなと思って。有馬のほうが競馬しやすいかな。去年700もってるから、今日あそこから動けたわ」と話していた。パートナーのことを知り尽くしているからこそ、どこから動けば間に合う、仕掛けるならどのタイミングというのも把握している。そのため、ゴールから逆算してレースを組み立てることが可能なのだ。

 もちろん、これは並の馬や騎手にできる芸当ではなく、規格外の実力を持っているドウデュースと百戦錬磨の天才のコンビという条件付きではあるが、今回も淡々と任務を遂行するのみ。「競馬に絶対はない」といわれるものの、日曜夕方には大歓声に包まれながらウイニングランを披露するレジェンドとドウデュースの姿が見られそうな気がする。

高城陽

大手新聞社勤務を経て、競馬雑誌に寄稿するなどフリーで活動。縁あって編集部所属のライターに。週末だけを楽しみに生きている競馬優先主義。好きな馬は1992年の二冠馬ミホノブルボン。馬券は単複派で人気薄の逃げ馬から穴馬券を狙うのが好き。脚を余して負けるよりは直線で「そのまま!」と叫びたい。

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