何故『DMMバヌーシー』JRA参入は支持されるのか? 事業統括者・野本巧氏が語る「感動の共有」から見える馬主の「本懐」(特別インタビュー企画)

 10、11日の2日間に渡って開催されたセレクトセール2017。毎年数多くの話題が提供される世界最高峰の競走馬市場で、今年最も大きなインパクトを残したのは、競馬界に電撃参戦を表明したIT業界の大手企業『DMM.com』に他ならない。

 初日にリアルスティールの全妹、2日目にジェンティルドンナの全妹と、キタサンブラックの全弟という話題性抜群の3頭を約7億円で落札した『DMM.com』は、その日に既存の1口馬主クラブとは一線を画した、まったく新しいスタイルのクラブ法人を設立すると発表。

 募集口数が1万口。会費やランニングコストなどの途中負担が発生せず、それらを一括して前納。しかもそれが数万円程度という気軽さ。そして、まるで競馬ゲームのような専用アプリ『DMMバヌーシー』を通じて話題の超良血馬と触れ合える”異空間”――。

 既存の1口馬主クラブとは大きく異なりながらも注目を集める『DMMバヌーシー』とは一体、どういったものなのか。

 ギャンブルジャーナルは今回の発起人であり、クラブ法人『DMMドリームクラブ』の取締役・野本巧氏のインタビューに成功。8月5日のサービス開始を控え、今や競馬界の枠を超えたさまざまなジャンルで高い注目を集める「時の人」を直撃した。

インタビューに応じてくださった野本巧氏

――今回、突然の発表になったが。

 もともとは、10日のセレクトセールの翌週辺りに頃合いを見て『DMMドリームクラブ』並びに専用アプリ『DMMバヌーシー』をプレスリリースする予定でした。

 しかし、初日にセリ落とせたのがリアルスティールの全妹という良血馬。注目度も高く、落札後すぐに形式的なインタビューを受けることになったんですよ。その際に『DMM.com』として落札したことを伝えると、周囲にいたマスコミの方々が反応し、落札インタビュー会場が急きょ即席の記者会見場のようになってしまいまして……(笑)。結果的に、予定よりも先行して発表する形となりました。

 翌日、会議に出るとその時のスポーツ新聞が山のように積まれていましてね。スタッフが気を遣ってくれたと思いますが、恥ずかしさで吐きそうになってしまいました(笑)。

――セレクトセールで落札したのがリアルスティールの全妹、ジェンティルドンナの全妹、そしてキタサンブラックの全弟という、すべて大きな話題性を持った馬。そういった狙いはあったのか。

 もちろん落札候補は絞っていましたし、スタッフと合わせて2日間で手を挙げたのは6頭です。ただ強く狙っていたのは、やはりこの3頭でした。

 というのも『DMMバヌーシー』には既存の競馬ファンの人たちももちろんですが、それ以上に「これまであまり競馬を知らない人たちにも、興味を持っていただきたい」という思いがあります。有名な馬の兄弟となる3頭を選んだのは、そういった人たちの”きっかけ”になってほしいからですね。実際に「競馬に興味はないけど、これは楽しそう」「ギャンブルはしないけど、これなら1口乗ろうかな」といった反響もあり、手応えを感じています。

 ただ、中には当然「名馬の兄弟だからといって走るとは限らない」という厳しい声もありました。競馬なのでもちろんそうですが、ただ『DMMバヌーシー』が目指しているのは、そういうところではないんですよね。

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