何故『DMMバヌーシー』JRA参入は支持されるのか? 事業統括者・野本巧氏が語る「感動の共有」から見える馬主の「本懐」(特別インタビュー企画)
――ありがとうございました。最後に所属馬の情報配信についてお聞かせください。
現在のところ、週5日くらいのペースで公開できればと考えています。我々の考えにご賛同いただき、さまざまな面でご協力いただいている牧場の方々には、本当に感謝の言葉もございません。
近い将来、牧場側と連携して出資馬の見学ツアーも構想しています。あくまで可能性の段階ですが、例えばノーザンファームさんなど大きな牧場のツアーでしたら、最大1,000人くらいの大規模な見学ツアーも企画できるのではと考えています。
・馬が今ここで走っているのだという”密度”を感じていただきたい
野本氏が話す馬主の「ロマン」や「夢」、そして『DMMバヌーシー』がテーマとして掲げる「感動の共有」。これらが決して青臭い綺麗事でないことは、今の競馬界を見渡せば自ずと見えてくる。
昨年から今年にかけ競馬界の覇権を争ってきたのは、述べるまでもなくキタサンブラックとサトノダイヤモンドの2頭だ。だが、それぞれのオーナー・北島三郎氏と里見治氏は、そこに至るまでに膨大な時間と資金、そして何度となく破れた「夢」を注ぎ込んでいることでも有名だ。
1963年に馬主資格を得た演歌界の大御所・北島氏がキタサンブラックと出会い、待望の初G1制覇を飾ったのは2015年。つまり、実に52年もの歳月が費やされている。
対する里見氏もセレクトセールなどで毎年のように億単位の高額馬を購入しながらも、サトノダイヤモンドと出会い菊花賞で初G1勝利を飾ったのは、所有馬の初出走から24年と8カ月が経った昨年の出来事だった。
述べるまでもなく、どちらも「投資ビジネス」としてはとっくに破綻しているだろう。だが、それでも何故あれだけの大人物が、あれだけの熱意をもって馬主を続けてこられたのか……。そういったことを考えると、今回、野本氏が語った言葉の1つ1つの重みが増してくるようだ。
「例え1口だけの参加だとしても、自分が1万分の1だと決めつけてしまう必要は一切ない。1頭の馬を1人で所有している馬主の方々と同じだけの愛情を注いで、同じように感動していただきたい。大事なことは、そこに参加しているかどうか。あなたがいるからこそ、その馬が今ここで走っているのだという”密度”を感じていただきたいんですよ」
「僕がなりたかった、僕らがなりたかった馬主。そういったものを『DMMバヌーシー』で実現してもらいたいと思っています」
最後にそう語った野本氏。大手IT企業『DMM.com』が誇る最先端の技術が導入された『DMMバヌーシー』は、実は今の競馬に失われつつある「ロマン」や「夢」を改めて想起させられるものなのかもしれない。
(文=浅井宗次郎)